トロロッソ、耐久性不足が懸念されるホンダエンジンを擁護「期待以上の信頼性、深刻な問題は皆無」
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シーズン残り3戦となったF1メキシコGPの週末に先立って、ホンダは10号車ピエール・ガスリーに新品未使用のパワーユニットを投入。レギュレーションで許可された年間上限数を大きく超過する今年8基目の封を切った。
チャンピオンシップを争うメルセデスやフェラーリが概ね3基、ルノー勢で最も多くのエンジンを投入しているのがニコ・ヒュルケンベルグとダニエル・リカルドの5基である事と比較すると、8基というホンダの数は群を抜いて多い。
V6ハイブリッド・ターボ導入5年目の今年はエンジン交換に関する規約がさらに厳格化され、ICEなどの主要エレメントに関しては年間3基、その他については年間2基までに制限されており、これを越える交換を実施するとグリッド降格が発生。パワーユニットの信頼性が成績に影響するルールとなっている。
トロロッソが昨年までのルノー・スポール製F1パワーユニットを嫌った理由の一つが信頼性不足であった事を考えれば、ホンダはその期待に応えられていないように思われる。だが、F1メキシコGPの金曜プレスカンファレンスの出席したスクーデリア・トロロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストは、むしろ「期待以上の信頼性」だと主張する。
「もっと多くの問題を抱えると予想していたが、信頼性に関してホンダは我々の期待を上回る結果を出している。実際のところ、深刻な問題は皆無だ」
「ホンダは正しい方向性で仕事を進めており、冬の間も改善し続けるだろう。来年、我々トロロッソとレッドブル・レーシングがホンダと共に何を成し遂げられるか本当に楽しみなんだ」
忘れ去りたい暗黒史となったマクラーレン・ホンダ時代。ホンダのF1パワーユニットはMGU-Hを筆頭に不具合まみれの悲惨な状況に陥り、フェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンの2名がグリッド最後尾からスタートしたのは数知れない。
今年も頭ひとつ飛び抜けた数を投下しているものの、トラブルによってというよりも、先を見据えての戦略的な判断といった色合いが強い。トスト代表は「リスクを避けるため」という表現を使い、メキシコGPでのPU交換が信頼性を理由にしたものではないとの認識を示す。
「今回パワーユニットを交換したのは、オースティンでのレースを終えてピエールのパワーユニットにアッセンブリーに関する課題が見つかったからだ。ホンダはリスクを冒す事を避けるために、今回のメキシコで新しいパワーユニットを導入する決断を下したんだ」
「FP1では元々2周だけ走る予定だった。エルマノス・ロドリゲス・サーキットは非常に標高が高く特殊なコンディションだから、旧型のスペックに交換する計画を立てていたんだ。慣れ親しんだ古い仕様のスペック2エンジンの方が経験値がある分、適切にセッティング出来るからね」
「今年のホンダの仕事ぶりは、これまでのところファンタスティックだよ。パフォーマンスの向上幅は大きく、信頼性も高まっている。今年はこれ以上ペナルティを受けるつもりはないから、次のサンパウロとアブダビでの残り2レースが本当に楽しみだ」
「それに、開幕までの冬の間にホンダが更に信頼性を改善することを確信している。彼らは非常にハードにプッシュしており素晴らしい仕事をしているからね。来年最終的に幾つのパワーユニットを使う事になるのか分からないけど、私に言わせれば、年間3基までという現行レギュレーションが間違っている。2021年以降はこのルールが変わって欲しいね」
性能に劣る旧型スペック2を搭載したブレンドン・ハートレーは、1回目のフリー走行で9番手。その後のFP2ではトップタイムのマックス・フェルスタッペンから1.341秒遅れの6番手につけ、予選と決勝に向けて有望な速さを示している。