非難飛び交うクラッシュ…自身のオンボード映像で弁明する佐藤琢磨に対し「タクマを責めることは出来ない」との声

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2019年ポコノにてcopyright Indycar

インディカー・シリーズ第14戦ポコノで発生したオープニングラップでの大クラッシュに関して、事故の起点となった佐藤琢磨に対するバッシングの声が上がる中、佐藤琢磨本人がソーシャルネットワークを通じて弁明した。

事故が発生したのは1周目だった。5台が絡むマルチクラッシュがターン2で発生。佐藤琢磨の左リアとアレキサンダー・ロッシの右フロントが接触し、これにライアン・ハンター=レイとフェリックス・ローゼンクヴィスト、そしてジェームスヒンチクリフが巻き込まれ、レースは赤旗中断となった。

弾き飛ばされたローゼンクヴィストのマシンは、外側のセーファーウォールと鉄製フェンスに激しく衝突。佐藤琢磨はイン側へと流れ落ちた後、再び外側に飛ばされマシンが一回転。ひっくり返った状態でコース上に停止した。非常に大きな事故であったが、幸いにも深刻なケガを負った者はなかった。

「チャンピオンシップを争うアレックス(ロッシ)を巻き込んでしまった事について申し訳なく思っています」と佐藤琢磨。自身のTwitterアカウントを通じて、事故の状況を説明した。

「彼は、ライアン(ハンター=レイ)と僕に挟まれるような状態になっているように見えますが、路面の継ぎ目を見てももらうと、アレックスが動いていた事が分かると思います。僕たちは非常に接近した状態でレースをしており、その結果として残念ながら接触に至ってしまいました」

このツイートに対してユーザーは「結局のところ、過失の全てはタクマにある」「残念だけどキミのミスだ」「危険なドライバーだ。トラックで走るべきではない」といったリプライを飛ばし非難。責任は佐藤琢磨にあるとの意見が多くの支持を集めた。

また、ロッシ本人もこのツイートに反応。「映像を見れば分かると思うが、スコット・ディクソンのトウを得ようとした際の動きがすべての発端だ」と返し、佐藤琢磨が前方を走るディクソンの真後ろつこうとしたと主張した上で、この動きが事故を引き起こした、との考えを示した。

これらのリプライに反応するかのように、佐藤琢磨は最初の投稿の4時間後に、今度は自身のオンボード映像を含めて再びツイート。ロッシを責める意図はないとして、謝罪した上で、防ぎようのないレース中の事故=レーシングアクシデントであった事を明らかにしたかっただけだと述べた。

「アレックス(ロッシ)を責める意図は全くありません。ただ事実を明らかにし、謝罪したまでです。この映像を見てもらえれば、僕が真っ直ぐに走っていただけだという事が分かると思います」

中継で繰り返し放送されていたロッシのオンボード映像(以下の動画を参照)では、佐藤琢磨がイン側のロッシに向けてステアリングを切ったかのような動きをしたかに見えるが、佐藤琢磨のオンボードを見ると、ステアリングを切らずに真っ直ぐに走行していたように見て取れる。

インディ500への参戦経験を持つレーシングドライバー、アリー・ルイエンダイクJr.は「映像を見て、タクに対して申し訳ない気持ちになった。僕を含めて多くの人々が判断を急ぎすぎてしまった。このインシデントに関して、君を責めることはできない。全員が無事で良かった」とツイート。多くの共感を得ている。また、最初のツイートとは異なり、2回目の投稿には5000千件以上のエンゲージメントがついている。

無論、チャンピオン争いをしている地元アメリカ人ドライバーが事故に巻き込まれたという事実は変わらず、依然として佐藤琢磨へのバッシングがゼロになったわけではないが、寄せられたリプライを見る限り、少なからぬファンの意見が「Takuma Satoの責任」から「レーシングアクシデント」へと変化したように見受けられる。

一件が大きな話題となっている背景には、”トリッキー・トライアングル”と称されるポコノでの過去の悲惨なアクシデントがある。2015年にはジャスティン・ウイルソンがレース中の事故で死去。昨年はロバート・ウィッケンスが重症を負い、今もリハビリ生活を送っている。

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了