警察沙汰に…匿名の「腰抜け陰謀論者」に苛立つウォルフ、ハミルトンへの”組織的妨害”告発を巡り
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2025年のフェラーリ移籍が決定しているルイス・ハミルトンが、メルセデスから意図的に妨害されているという匿名のメール告発を受けトト・ウォルフ代表は苛立ちを表明し、送信者を特定すべく警察に通報したことを明らかにした。
今シーズン終了後にフェラーリに移籍する7度のF1ワールドチャンピオンは現在、予選成績で僚友ジョージ・ラッセルに1勝8敗と、大きく負け越している。
ハミルトンはラッセルに対する予選での差について、やや謎めいたコメントをしているが、チームがラッセルを優先しているという事実は特に確認されておらず、ましてや意図的な妨害が行われているという確たる証拠はない。
しかしながら報道によると、F1や国際自動車連盟(FIA)の関係者に対して送信されたメルセデスのチームメンバーからのものだと解釈され得るメールには、メルセデス、特にウォルフがハミルトンを「組織的に妨害」しているとの主張が含まれていた。
F1第10戦スペインGPの初日に、この件について尋ねられたウォルフは「チームのメンバーから送信されたものではない。この手の内容のメールを、それも大量に受け取ると本当に腹が立つ。特に死について書かれている時は尚更だ」と語った。
これは、メルセデスが「最終的にはルイスの命を脅かす可能性のある危険な道」を歩んでいるとする告発メールの主張を指しているものと思われる。
「この件に関しては全力で対処するよう指示した。警察がIPアドレスは電話を調査している。こうしたオンライン上の悪意に満ちた行為はやめさせなければならない。電話やコンピュータの後ろに隠れてチームやドライバーをこうした形で中傷することは許されない」とウォルフは続ける。
「陰謀論者や狂信者が何を考えているのか分からない。ルイスは12年間に渡ってチームの一員だった。我々は友情を築き、お互いを信頼し、この旅を良い形で終わらせ、祝いたいと思っている」
「こうした狂った連中にはこう言いたい。精神科医に見てもらえ、とね」
ウォルフは、メルセデスがハミルトンを妨害することの「非合理性」を説き、「冗談では済まされない限度」があるとも強調し、匿名で他者を攻撃する人間は「腰抜け」であると批判した。
「彼がフェラーリへの移籍を決断した理由については完全に尊重している。恨みもなければ、悪い感情もない。チーム内でのやりとりはポジティブだ。外部からのチーム内の出来事に関するコメントはすべて間違っている」とウォルフは語る。
「だが、どんな物事にも限度がある。メールや電話番号を使ってこの手のメッセージを送信するのは、私にとっては冗談では済まされない。 最終的に上手くいくかどうかに関わらず我々は追求していく。物事には限界がある」
つい先週は、SNS上で広がるフェイクニュースについて、3年以上に渡る我慢の末にパートナーのケリー・ピケが公にメッセージを発した事を受けマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、全面的に彼女を擁護し、憎悪を伴う「根拠のない言いがかり」を止めるよう働きかけたばかりだ。
ウォルフは「オンラインでの中傷は我々やチームだけでなく、ルイスやジョージ、そしてマックスやケリーにも悪影響を及ぼしている」と続ける。
「隠れて悪口を言う人間は腰抜けだ。ソーシャルメディアには良い面もあるが、それに伴うネガティブな面もある」
「私はコメントを一切、読んでいない。ソーシャルメディアも使っていない。そうすることで自分を守ることが重要だと思っている」
「この問題については以前から何度もコメントしてきたが、ベッドの上でノートパソコンを使ってひたすらタイピングしている人々は常に存在する」
「中傷したり、他人を攻撃したり、偽のInstagramアカウントや何かを使って隠れる連中に対しては…自分が誰であるかを明らかにしろといいたい。我々は批判を受け入れる用意も、議論する用意もある。隠れるな」
ハミルトンの来季以降の上司であり、ウォルフと20年来の付き合いであるフェラーリのフレデリック・バスール代表は「トトとの関係は別として、昼夜を問わず働く1500人の従業員を抱え、アップグレードをもたらそうと全力を尽くしている会社が、自分達のクルマの1台を壊したり、ダメージを与えたりするなんて、どうして想像できるだろうか? 全く非合理的だし、パドックにいる誰一人としてこんなことはしない」と一蹴した。