F1シンガポール決勝グリッドとタイヤ戦略考︰ラッセルがパルクフェルメ規定違反!カギを握るアンダーカットとセーフティーカー

人工照明に照らされ白く浮かび上がるマリーナベイ市街地コースのトラック、2022年10月1日F1シンガポールGPCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

10月2日(日)の日本時間21時より開催されるF1第17戦シンガポールGPの公式スターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および、予想される決勝のタイヤ戦略を見ていこう。

降格乱舞となった前戦イタリアGPとは対照的に、マリーナベイ市街地コースは追い抜き困難なサーキットであり、戦略的に降格を消化するメリットはない。

だが、奮わぬ予選11番手に終わったジョージ・ラッセル(メルセデス)が決勝を前にパワーユニット一式を交換。ピットレーンスタートとなった。

メルセデスは決勝を前に今季4基目となるICE(内燃エンジン)、ターボ、MGU-H/K、3基目となるES(バッテリー)及びCE(コントロール・エレクトロニクス)を搭載。通常であればグリッド最後尾だが、FIAテクニカル・デリゲートの許可を得ずに行ったためバルクフェルメ規定となり、ピットスタートが命じられた。

なおその他にパワーユニット交換を行ったのは6基目のエキゾーストに新調したピエール・ガスリー(アルファタウリ)のみ。また4名がギアボックスを投入したものの、割り当て上限の4基目を超える者はいなかった。

よって11番手以降を除き予選順位とグリッドの間に相違はなく、ポールポジションにシャルル・ルクレール(フェラーリ)、最前列2番グリッドにセルジオ・ペレス(レッドブル)が並ぶ。角田裕毅(アルファタウリ)は10番グリッドからの入賞を目指す。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

予選トップ3写真を撮影するセルジオ・ペレス(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2022年10月1日F1シンガポールGP

想定されるタイヤ戦略

まずはマリーナベイ市街地コースの特徴をおさらいしておこう。ここは制限速度が60km/hと低くピットレーンが長いため、ピットストップには28秒ものロスが生じる。

更にオーバーテイクが困難でありトラックポジションが重視される事から、特にドライレースとなれば、原則的には1ストッパーが最速の戦略と考えられる。

ピレリは第1スティント(22周~28周)をミディアムタイヤとして、その後、ハードタイヤに履き替える1ストップ戦略が理論上の最速ストラテジーだと予想する。

ソフトスタートの場合は第1スティントを18周~24周走った後にピットストップでハードタイヤに交換する。

Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

スリックタイヤに履き替えたランス・ストロール(アストンマーチン)、2022年10月1日F1シンガポールGP予選

2日目に雨が降った事で路面のラバーは洗い流された。デグラデーションが酷くなる事が予想されるため、ソフトよりはミディアムをスタートタイヤに選ぶのが堅実と言えそうだ。

ただし最大のオーバーテイクチャンスは1周目。ソフトタイヤでポジションを上げて逃げ切り体制を作るのも一考だ。

なお、前回大会の3年前とは路面もタイヤもマシンも大きく異なるが、デグラデーションが大きい事から依然としてアンダーカットが機能するものと思われる。下手にスティントを伸ばせば後方集団に食われかねない。

直前の雨予報

日曜の午後には激しい雨が予想されているものの、レース開始までには止むものと見られている。

シンガポールの天候を読むのはいつだって難しいが、インターミディエイトから始まり、路面が乾くに連れてスリックに履き替える事となった予選と似たような展開となる可能性もある。

なお、インターからソフトへのクロスオーバーポイントは1分52秒前後が予想される。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

ラックに積み上げられたピレリのエクストリームウェットタイヤ、2022年9月29日F1シンガポールGP

確実視されるセーフティーカー

F1シンガポールGPはこれまで例外なくセーフティーカーが導入されてきた。路面状況が移り変わるコンディションともなれば、その可能性は高くなる。

セーフティーカーが導入された場合、ピットストップに要する時間は15秒程度、バーチャルセーフティカーの場合は20秒程度で済む計算だ。臨機応援にタイヤ交換に動くチームもあるだろう。

2022年F1シンガポールGP 決勝グリッド

61周で争われるF1シンガポールGPの決勝レースは10月2日(日)現地20時、日本時間21時にフォーメーションラップが開始される。日本ではDAZNフジテレビNEXTで生放送・ライブ配信される。

Pos No Driver Team Qualifying
1 16 C.ルクレール フェラーリ 1(-)
2 11 S.ペレス レッドブル・RBPT 2(-)
3 44 L.ハミルトン メルセデス 3(-)
4 55 C.サインツ フェラーリ 4(-)
5 14 F.アロンソ アルピーヌ・ルノー 5(-)
6 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 6(-)
7 10 P.ガスリー アルファタウリ・RBPT 7(-)
8 1 M.フェルスタッペン レッドブル・RBPT 8(-)
9 20 K.マグヌッセン ハース・フェラーリ 9(-)
10 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 10(-)
11 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 12(+1)
12 47 M.シューマッハ ハース・フェラーリ 13(+1)
13 5 S.ベッテル アストンマーチン・メルセデス 14(+1)
14 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 15(+1)
15 77 V.ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 16(+1)
16 3 D.リカルド マクラーレン・メルセデス 17(+1)
17 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 18(+1)
18 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 19(+1)
19 6 N.ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 20(+1)
20 63 G.ラッセル メルセデス 11(-9)

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