フェルスタッペン、激昂を経て「苛立たしいレース」を予想…”2.7秒”速かったラップの中断劇。レッドブルの判断を批判
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1日(土)に行われたF1第17戦シンガポール公式予選を8番手で終えたマックス・フェルスタッペンは、燃料不足によってポール獲得のチャンスを逃した事に悔しさをにじませると共に、判断を誤ったとしてレッドブルを批判した。
フェルスタッペンはQ3の最終2ラップをいずれも途中で中断した。そのどちらもがポールポジションに足るものだった。最終1つ前のラップは第二セクター通過時点でルクレールより0.767秒速く、最終ラップに至っては同じセクター2通過時点で0.905秒も速かった。
最終1つ前のラップの中断理由は、途中でミスがあったためにフェルスタッペン自身が最終ラップに備えてアクセルを緩めたためだった。
それ以前にレースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼとの間で、最後に2回のプッシュラップを行う計画を立てていたため、フェルスタッペンは後1周のチャンスがある事を知っていた。
だがその最終ラップは、燃料切れによってFIAに提出する分のサンプルが取り出せず、失格処分となってピットレーンスタートになる恐れがある事が発覚したため、チームからの指示によって中断を余儀なくされた。
最終コーナを前に”ボックス”の無線を受けたフェルスタッペンは無線を通して怒りを爆発させ、なぜラップを放棄しなければならなかったのか?と激しい口調でチームに何度も説明を要求した。
ヘルメットを脱いでアドレナリンも落ち着き、冷静さを取り戻したフェルスタッペンは、ラップ中止の指示が出る前にどれだけ改善していたのか?と問われると次のように答えた。
「2.7秒だよ。信じられないくらい悔しい。燃料不足が発覚したからなんだけど、こういうことはQ3を通して追跡できるはずだし、そうであればチームは最終1つ前のラップを最後まで走らせるべきだったんだ」
「結局のところ、僕もミスをする事があるし、チームもミスをしたりする。ミスをした時にお互いに批判し合えることが重要なんだと僕は思ってる。だってこんなのあってはならないことだからね」
コースの所々に水たまりが残り、路面温度も上がらない中で行われたQ3では、タイヤへの熱入れと合わせて路面が急速に改善していく事が予想されたため、誰もが1セットのスリックを履いてピットインなしに走り続ける展開となった。
こうした状況で燃料計算が困難となる要因の一つは、路面状況の改善を背景に変化する1周あたりのエンジン全開率の変化をどう見積もるかという事だろう。路面が乾けば乾く分だけ、アクセルを踏み込める時間が増える。それは燃料消費が増える事を意味する。
マリーナベイ市街地コースでは1ラップを通して加減速を繰り返すことになる。重量がラップタイムに与える影響は大きく、できる限り余計な燃料を積まない事が鍵となる。
チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「路面が改善していたため、最大でも5ラップが限界だろうと考えていたが、フライングラップに差し掛かったところで燃料が限界に近づいてしまった」と説明した。
「ピットレーンスタートになるよりはむしろ、ラップを中止した方が良いと判断したのだが、これはマックスにとってもチーム全体にとってもフラストレーションの溜まる選択だった」
「結果、8位に後退してしまったが、それでもピットレーンからスタートするよりは明らかにマシだ」
フェルスタッペンは、ハンガリーGPで10番グリッド、ベルギーGPで14番グリッド、そしてイタリアGPでは7番グリッドから逆転優勝を掴み取るなど、今シーズンは下位からの挽回劇が印象的だ。
だが、マリーナベイ市街地コースは追い抜きが難しく、フィールドを駆け上がっていくのは決して容易ではない。
フェルスタッペンは「ここはモナコみたいに追い抜くのが本当に難しいから、前を塞がれるだけの凄く苛立たしいレースになると思う」とした上で、「もちろん全力を尽くして前に進もうと思うけど、表彰台や優勝についてはあまり考えていない」と付け加えた。
2022 F1シンガポールGP予選ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。2番手にセルジオ・ペレス(レッドブル)、3番手にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続く結果となった。
シンガポールグランプリの決勝レースは日本時間10月2日(日)20時にフォーメーションラップが開始され、1周5,063mのマリーナベイ市街地コースを61周する事でチャンピオンシップを争う。