苛立つリカルド、宙を舞うタイヤで「ルールの不備」の餌食に…クルマは「腹が立つほど速かった」
Published:
チームメイトの角田裕毅がスプリントに続いてポイントを獲得した一方、1周目の事故により不運にも1ラップダウンを余儀なくされたダニエル・リカルド(アルファタウリ)は、「ルールの不備」に苛立ちを隠さなかった。
2023年F1サンパウロGPでは、オープニングラップのターン1を前にアレックス・アルボン(ウィリアムズ)とハースのニコ・ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンが絡む多重クラッシュが発生した。
17番グリッドに着いたリカルドは、この事故に直接巻き込まれることはなかったものの、衝撃によりクルマから脱落して空中を飛んだタイヤの直撃を受け、同郷のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)共々、リア周りにダメージを負った。
幸いにも赤旗によりレースが中断されたためアルファタウリは修復の機会を得たが、ガレージ内での作業となった事で、レースコントロールはリカルドとピアストリにピットレーンからのスタートを命じた。
更に悪いことに、1周遅れ扱いで再スタートしなければならず、2人のレースは始まる前に終わりを迎えた。
リカルドは「ルールの不備というか、何かが露呈したと思う。だって誰もレーシングラップを1周も終えていないような気がするのに、僕らはラップダウンの状態でレースを始めなきゃならなかったんだから。オスカーと僕はその犠牲になったんだ」と不満を隠さない。その表情は怒りさえ感じさせた。
「今日は僕ら2人だけだったけど、仮に15台のマシンがダメージを負ったとしたら、15台が1周遅れでスタートするわけ? おかしいよね。彼ら(FIA)はもう少し、頭を柔らかくしないと駄目だと思う。イライラするね」
リカルドは、空を飛んだタイヤが自分の方に向かってくるのを認識していた。
「タイヤがホイールから外れて、フリスビーみたいに空を飛んでいるのが見えて、僕の方に近づいてきたから本能的に頭をかがめたんだ」とリカルドは振り返る。
「ぶつかった感じがなかったから『ああ、良かった』と思ったんだけど、ターン1を過ぎてミラーを見てみたらリアウイングが壊れているのが見えてね。それでタイヤがウイングに当たった事が分かったんだ」
再びレースに参加できたとは言え、1周遅れでのリスタートはピアストリとの最下位争い以外の何物でもない。
16番手スタートの角田裕毅が、ミスを犯しクラッチのトラブルを抱えながらも9位フィニッシュを果たした事からも明らかなように、この日のAT04には間違いなくポイントを獲得できるだけのペースがあった。それだけに、ただ周回を重ねるだけのレースを強いられたリカルドの悔しさは計り知れない。
「今日は本当に速さがあったのに、それを活かすチャンスがなかった。ラップダウンだから当然、チームゲームをしなきゃならず、ユーキを含む周りの邪魔にならないように気をつけなきゃならなかった」とリカルドは語る。
「でもクリーンエアーを得た時、特に終盤に向けて何周か、本来のスピードで走れた時間帯があったんだ。腹が立つほど速かった」
「チームには同情する。僕はチャンピオンシップ争いに加わっているわけじゃないけど、チームが7位になるのを助けるためにここにいるんだ。今日はかなり貢献できたはずなのに、ルールがこんな風になっているなんて本当に残念だ。柔軟性がないように思う」
「本来なら大量にポイントを獲得できたはずだった。タラレバの話はしたくないけど、少なくともフィールドを大きく駆け上がっていくだけのものがあったことは、僕らのペースが物語っている」