サインツ、母の前で魅せた”涙”のメキシコ勝利「何としても勝ちたかった」迫るフェラーリとの別れ…思わず感傷的に
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フェラーリでのキャリアが終盤に差し掛かる中、2024年のF1メキシコGPでポール・トゥ・ウインを果たしたカルロス・サインツは、家族が見守った表彰台の上で涙を流すなど、感傷的になったと明かした。
1週間前のアメリカGPで1-2フィニッシュを飾ったフェラーリの勢いは衰えず、サインツは後続に大差をつけてポールポジションを獲得すると、序盤8周のリードをマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に許しながらも、ターン1での見事なブレーキングでリードを奪い返し、ランド・ノリス(マクラーレン)を抑えて優勝を果たした。
サインツはキャリアを通して初めて、1シーズン中に複数回優勝しただけでなく、世界最大のスペイン語圏の都市であるメキシコシティで優勝した初のスペイン語話者となった。フェラーリにとっては1970年(ジャッキー・イクス)と1990年(アラン・プロスト)に続く、3度目のメキシコGP制覇となった。
3シーズンを共に過ごしたフェラーリと臨むレースは残り4つ。サインツは今シーズン末を以てマラネッロのチームに別れを告げ、ウィリアムズに移籍する。
サインツはこの日の勝利が「特別なもの」であると認めた上で、「今週末は、レースに勝つ絶好のチャンスになるだろうと思っていた。週末を通して本当に感触が良く、もちろん、勝ってやろうと強く決心してレースに臨んだ」と振り返った。
「家族や仲の良い友人達、ガールフレンドなど、たくさんの人達が応援に来てくれていて、もしかしたら運命的な結果が待っているかもしれないと思っていた」
「ひょっとするとフェラーリでの最後の勝利が、彼らの前で、彼らからの今年1年間の応援に報いる形で、このメキシコシティの素晴らしい表彰台で実現するかもってね」
「そして僕はそれをやり遂げた。今、僕がどれだけ幸せで、誇りに思っているかは、みんなには想像もつかないだろうと思う」
「フェラーリを離れる前にもう一度勝ちたいと言ってきたけど、この素晴らしい観客の前でそれを実現できて信じられない気分だ」
サインツは、母が見守る前でトップチェッカーを受けた後、レースエンジニアのリカルド・アダーミと共に上がった表彰台の上で涙したと明かした。
「本当に感動的だった。スペイン国歌の斉唱の最中、僕は涙を流した。間違いなく、僕のキャリアにおける最高の瞬間の一つだった」とサインツは語った。
「母は、僕がレースで優勝した時に立ち会ったことがなかったんだけど、今週末は母がここに来てくれることになっていたんだ。だからどうしても、母の前でレースに勝ちたかった」
エルマノス・ロドリゲス・サーキットのポールからターン1までの距離は、カレンダー最長の768mに達する。故に例年、スタート直後のターン1ではドラマティックな順位交代が発生する。
スタートについてサインツは、「あまり良くなかった。でも同時に、マックスとレッドブルはグリップが低いコースでスタートが上手くいく傾向があるから、ターン1に向けて並ばれることもある程度は覚悟していた」と語った。
「できる限り遅くブレーキをかけたけど、彼も同じように遅くブレーキをかけてきて、ターン2に進入するスペースが全くなかった。それでも冷静さを失わず、リードを取り戻せるわずかなチャンスを確実に活かそうと思っていた」
フェルスタッペンからリードを取り戻した際のオーバーテイクについては、「マックスと競り合うときは、決断力と覚悟が必要だ。決断力がなければ彼を抜くことはできない。今回は少し彼の意表を突くことができて、それが成功につながった」と語った。
「あれは緊張の瞬間でもあった。聞いた話だと、後方でバトルが始まって、僕も巻き込まれそうになったらしいし、本当にエキサイティングな瞬間だった」
1週間後のサンパウロGPの見通しについては、「良い質問だけど、ブラジルについて考える前に、まずはメキシコの勝利を楽しませてくれよ」と返した。
「今夜は、この勝利を実感して味わいたい。コンストラクターズタイトルを夢見るのもいいね。ブラジルについては明日考えるよ。今日は勝利を楽しむ日だ」
全チーム最多となる41ポイントを加算したスクーデリア・フェラーリは、レッドブルを逆転して2位に浮上し、首位マクラーレンとの差を29点にまで縮めた。
2024年F1第20戦メキシコGPの決勝レースでは、カルロス・サインツがポール・トゥ・ウインを飾り、ランド・ノリスが2位、シャルル・ルクレールが3位に続く結果となった。
インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月1日のフリー走行1で幕を開ける。今季5回目のスプリントが予定される。