ルノーF1、コピー疑惑巡るレーシングポイント裁定への控訴を撤回
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ルノーDPワールドF1チームは8月25日(火)、BWTレーシングポイントF1チームのブレーキダクトに関する裁定への控訴申請について、国際自動車連盟(FIA)に対して撤回を申し出た事を明らかにした。
今季型マシン「RP20」のリアブレーキダクトが独自設計を義務付けた競技規約違反にあたるとして、スチュワードはレーシングポイントに対して40万ユーロ(約5000万円)の罰金を科すとともに、コンストラクター選手権での15ポイントの剥奪を行う裁定を下したが、決定を不服としてルノーを含む3チームが控訴を申し立てていた。
レーシングポイントが昨季型のメルセデスF1マシン「W10」をコピーしたとする論争は、FIA国際控訴裁判所の手に委ねられる事となったが、ルノーは第7戦ベルギーGPを週末に控えた25日(火)に突如、控訴を取り止める意向を明らかにした。英国エンストンのチームはその理由を次のように説明した。
「この問題の本質は今シーズン並びに今後のF1の公平性に関する極めて重大なものであったが、FIA、ルノーDPワールドF1チーム、そしてF1に関わるすべての利害関係者による集中的かつ建設的な作業により、2021年シーズンの競技及び技術レギュレーションが改正される事になった。これによりコンストラクターの資格要件が確認され、F1のオリジナリティを守るための具体的な進展がもたらされる事となった」
「我々の最優先事項は、新たなコンコルド協定合意の文脈における当戦略的目標の達成にあった。我々はシーズン残りの熾烈なチャンピオンシップ争いに集中すべきであり、今シーズンの開幕戦での論争は過去のものとすべきだと考える」
裁定はRP20の全面的な違法を認めたわけではなく、技術規約上は問題ないとの判断が下された。そのため、来季以降も他車の空力コンセプトを丸ごと模倣する開発手法が合法と見なされる状態であったが、FIAはレーシングポイントへの罰則裁定が下った直後に、2021年の技術規約を改定する方針を示し、マシン全体をコピーするといった類の行為が禁止される運びとなった。
その後、ルノーを含む今季グリッドに並ぶ全10チームは、FIAおよびF1との間で、2021年から2025年までのF1参戦条件を定めた新たなコンコルド協定に合意した。具体的な内容は明らかにされていないものの、裁定を巡りルノーが求めていた何らかの要望が協定内においても満たされたものと考えられる。
同じく正式な控訴を申し立てているフェラーリは、依然として控訴裁判所での更なる審議を求めているものと見られるため、ルノーの控訴撤回はレーシングポイント論争の終結を意味するものではない。