レッドブルF1、違法疑惑を受け車高調整システムの存在認める…FIAとの協議を経て”合意”
Published: Updated:
2024年F1アメリカGPを前にパルクフェルメ違反の可能性を巡って物議を醸す中、レッドブルは、RB20に疑惑の車高調整システムが搭載されていることを認め、国際自動車連盟(FIA)との協議を経てクルマに変更を加えた。
異例の秋休み中、コックピット内の装置を使ってフロア前方の「ビブ」あるいは「Tトレイ」と呼ばれる部分の高さを予選後に変更しているチームが存在するのではとの疑惑が持ち上がった。
フロアと地面との間のクリアランスを調整することができれば、チームは搭載される燃料量が異なる予選とレースで各々、理想的なクルマを追求することができる。
燃料が軽い予選では、車高を低くして空力パフォーマンスを最大化し、燃料が重い決勝では、それによって車高が低くなり過ぎることを防止し、プランクの過度な摩耗を予防したり、縁石を使いやすくしたりすることが可能だが、これはパルクフェルメ規定で禁止されている。
疑惑は幾つかのライバルチームからシンガポールGP後にFIAに報告された。発端となったのは、レッドブルがFIAのサーバーにアップした設計仕様書だった。フロントフロア構造を含む幾つかのパーツは「オープンソース・コンポーネント」に指定されている。
レッドブルの広報担当者は英BBCに対して次のように述べ、こうした装置がRB20に搭載されていることを認めたが、実際にはルール違反となるような方法で使用することはできないと主張するとともに、既に問題に対処したと説明した。
「(装置は)存在するが、クルマが完全に組み立てられ、走行可能な状態になると、その装置は使用できなくなる。FIAとの間の数多くのやり取りを通して、この件が浮上し、我々は今後の計画に合意した」
疑惑を受けFIAは、今週末のアメリカGPより、「フロントビブのクリアランスが容易に変更できないよう、手続き上の調整を実施した」と説明した。
RB20のデバイスについて、マックス・フェルスタッペンと今季タイトルを争うランド・ノリス(マクラーレン)は、アメリカGPの開幕を翌日に控えた木曜のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、「クルマに搭載されていることと、それをどれだけ使用し、悪用しているかは別問題であって、実態は僕らには分からない」と語った。
「もしそれが彼らの助けになっていたとしたら、仮にみんなが考えるような方法で彼らがそれを利用していたとすれば、僕らが取る方向性に影響があるかもしれないけど、それだけで何度もポールポジションを取ったり、勝ったりしてきたとは思わない」
「ただ、予選やレースでのギャップが100分の数秒とか、1000分の数秒レベルだったりすると、そのデバイスが影響したと言えるかもしれない。FIAがこういう対応を取るのは良いことだと思う」