F1参戦目指すポルシェ、交渉決裂か…株式売却の可能性を除外するレッドブル。計画修正へ
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2026年のF1参戦を目指す交渉は決裂したようだ。F1-Insiderによるとレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「ポルシェが我々の株主になる事はないだろう」と述べ、株式の取得を巡る一連の話し合いが物別れに終わった事を示唆した。
株取引なしの提携の可能性も考えられるが、報道によると、2021年のF1ドライバーズチャンピオンチームとドイツのスポーツカーメーカーとの交渉はひとまず終わりを告げたとされる。同じフォルクスワーゲン傘下のアウディが参戦を発表して間もなくの出来事だった。
実現間近から一転、破談
両者は当初、レッドブルのホームレースであるF1オーストリアGPの週末にパートナーシップを正式発表する事で合意していたとされる。だが、2026年のF1パワーユニット規定の正式承認が遅れた事から延期された。
プレスリリースまで用意されていたとされる程、”レッドブル・ポルシェ”の実現は間近に迫っていた。参戦を見越して商標申請していた「F1nally」は日の目を見る事なく闇に消えるのかもしれない。一体、その後に何か起きたのか?
一つには当初、提携は対等な形式が予定されていたが、その後ポルシェ側が株式買収を望んだためではないかとの憶測がある。
7月に公開されたモロッコ競争協議会の文書から、ポルシェがレッドブルのF1事業会社の50%株式を取得する計画を立てている事が明らかになっているが、そうなれば当然、ポルシェは役員を送り込んでくるだろう。
レッドブルはマルコ、クリスチャン・ホーナー、エイドリアン・ニューウェイの3名によって作り上げられたレーシングチームであり、独自の文化と誇りを持っている。金のために仕事をしているわけでもないレース屋気質の曲者達が、外部の人間に発言権を許す事を受け入れるとは考えにくい。
交渉が長引き細部にまで踏み込めば踏み込むほど、マルコとホーナーの疑念は大きくなっていったようだ。
また奇しくも、交渉が暗礁に乗り上げているとの報道が飛び交う直前、ホンダが2026年のF1復帰を模索しているとの噂が再燃した。
レッドブル首脳陣は独自エンジン製造計画の推進を強調しているが、成功を共にし、今も協力関係にある日本のエンジンメーカーに対するレッドブル内部の支持は多いと伝えられている。
代替案はマクラーレンか
ただし、これを以てポルシェの参戦計画が立ち消えになるというわけではないようだ。
伝えられるところによると、ポルシェは今も2026年からの最高峰クラスへの参入を希望しており、マクラーレンが選択肢の一つに浮上している可能性があるという。
英国ウォーキングのチーム代表を務める独パッサ出身のアンドレアス・ザイドル代表は、かつてポルシェのWEC世界耐久選手権プログラムを率いていた人物だ。
ドライバーとコンストラクターズタイトルの3冠だけでなく、ル・マン24時間レース3連覇という偉業を成し遂げた後、2019年にマクラーレンに移籍。今も太いパイプがあるとされる。
ただマクラーレンはアウディとの交渉で決裂した経緯がある。
アウディは元F1ドライバーでBMWのF1参戦にも携わった事のあるゲルハルト・ベルガーを介してマクラーレンとの間で株式取得を含む交渉の席についていたが、話がまとまる事はなかった。
また、マクラーレンはポルシェの参戦条件を満たしたチームでもない。ポルシェはアウディとは異なりゼロからパワーユニット開発を行う気はなく、それが故にレッドブルに白羽の矢を立てたとされる。マクラーレンにはエンジン開発及び製造のインフラもノウハウもない。
早ければ今月中にも発表が予定されるというフランクフルト市場への新規株式公開(IPO)を前に、ポルシェはどう動くのだろうか?