レッドブル、とあるライバルを”卑怯”と非難…予算違反騒動を利用してスポンサー引き抜きを画策か

パドックを並んで歩くレッドブルのヘルムート・マルコとクリスチャン・ホーナー代表、2023年3月18日F1サウジアラビアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

スポンサーの引き抜きを画策したのか、それとも単に資金源を奪おうとしたのか…名前こそ明かさなかったもののレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、2021年の予算上限違反を巡る騒動を故意に利用した「卑怯」なライバルが1チームあったと非難した。

国際自動車連盟(FIA)は昨年のF1日本GP決勝の翌日、2021年の会計報告期間に関してレッドブルが財務規定で定められた予算上限を超過していたと認定した。アストンマーチンとウィリアムズにも手続違反が認められた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

予算超過に関するABA締結を経てメキシコシティで会見に臨んだレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表、2022年10月28日F1メキシコGP

英朝刊紙「i」とのインタビューの中でホーナーは、一昨年の支出超過に触れて「あれは我々の汚点になった。この手の話はライバルに利用されてしまうものなんだ」と語った。

「我々のスポンサーやパートナーに接触して、ブランドの評判を落とすことになるのでは? と仄めかしたライバルチームもあった。何にせよ、卑怯な行為だ」

レッドブルは故意性を否定したものの、FIAとの間で「違反是認(ABA)」を締結。これに伴い700万ドル(約9億円)の罰金と、空力開発テスト時間10%減の罰則を受ける事となった。

騒動は格好の餌となった。ライバルチームの多くは違反の事実が認定される以前の段階からレッドブルとホーナーに噛みついた。特に批判的だったチームの一つはメルセデスだ。

メルセデス所属のルイス・ハミルトンは、2021年シーズンを通してマックス・フェルスタッペンとコース上で幾度も衝突。シーズン最終戦の最終ラップで8度目のタイトルを奪われた。

最終アブダビGPでの混乱の責任はレッドブルにはないものの、メルセデスが納得できないとしても無理はなく、同じことはファンにも言える。

ソーシャルメディア上では接触の度に両ドライバーのファンの間で緊張が高まった。そしてそれはレッドブルの予算上限違反の発覚と共に再び燃え上がった。

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マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のリアに衝突するルイス・ハミルトン(メルセデス)、2021年12月5日F1サウジアラビアGP決勝レースにて

シルバーストンでのF1イギリスGPの観客層を見ても明らかな通り、同じ英国に本拠を構えているとは言え、同国出身の英雄、ハミルトン擁するメルセデスとレッドブルの国内における扱い、サポートには明らかな違いがある。それは英国メディアにも言える。

49歳のイギリス人マネージャーは「もしブラックリーのとあるチーム(メルセデス)のように、英国人ドライバーがいたとしたらどうだろう。我々はあまりにも簡単に悪人として見られてしまう」とこぼした。

レッドブルは2023年シーズンの開幕戦2戦でポールポジションを獲得しただけでなく、後続に大差を付けての1-2フィニッシュを飾った。RB19の支配的な競争力を目の当たりにしたジョージ・ラッセル(メルセデス)はF1史上初となる全戦優勝を予言した。

ただホーナーは、このままシーズンが終わるとは思っていない。「常に何かがある。いつだって技術指令が下され、ゲームを変える何かが起こるものだ」とホーナーは語る。

「『どうやれば彼らを遅くできるだろうか」と他のチームが企てるのは疑いない。それはゲームの一部だ。こうした環境の中で年月を重ねていくことで、それを乗り越える術を身につけ経験を深めていくんだ」

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