ピレリに批判、前触れなく4台の左前輪が次々パンク「もっと良いタイヤを作る義務がある」

左フロントタイヤがパンクしたウィリアムズのニコラス・ラティフィ、2021年11月21日F1カタールGP決勝レースにてcopyright FORMULA 1

F1の公式タイヤサプライヤーのピレリは、ロサイル・インターナショナル・サーキットで開催されたF1カタールGPで4台のタイヤが破損した件を受け、ミラノのファクトリーでその原因を調査する事を約束した。

初開催という事で過去のデータがなく、チームを含めて誰もが手探りの状態で週末に臨んだ。更に不運な事に夜間のナイトレース開催であったため、同時間帯に行われるプラクティスは僅か1回に留まり、有用なデータにも限りがあった。

ピレリはそもそも、タイヤの摩耗を理由に1ストップを推奨していなかったが、57周で競われた決勝レースでは全20台中、11台が1ストッパーを敢行。その内、バルテリ・ボッタス、ランド・ノリス、ジョージ・ラッセル、そしてニコラス・ラティフィの4名がタイヤのトラブルに見舞われた。

問題は4台とも同じで、全て左フロントタイヤがパンクに見舞われるというものだった。ハードタイヤでの24周目にパンクが生じたノリスと、同じくハードでの32周目にパンクしたラッセルはピットへと戻り、かろうじて完走したものの、他の2台はリタイヤを余儀なくされた。

第1スティントで履いていたソフトで28周を周回していた事から、ノリスはハードタイヤで「最後まで楽に走れると思っていた」が、何の前触れもなくターン14で突然タイヤが”吹き飛んだ”と言う。ウィリアムズの2人、そしてボッタスも同じ様に、事前の警告はなかったと明かした。

ノリスは今回の事故について「非常に危険」で「あってはならない事」だとして、ピレリには「もっと良いタイヤを作る義務がある」と注文を付けた。

ボッタスもまた「これまで何度も起きている事であって、これが初めてじゃないし、理想的とは言えないね。特に何も警告がなく起きるんだから」と不満を訴えた。

なお事前の警告こそなかったものの、ラッセルはタイヤが壊れる可能性を認識していたと言う。

ラッセルは「左フロントの外側のショルダー部が限界に達したわけだけど、プッシュし続ければいつかは壊れるだろうと思っていた」とした上で、それでも攻め続けたのはキミ・ライコネンと僅差のバトルを繰り広げていたためだと説明した。

一旦ヘルメットを被ってステアリングを握れば、ドライバーは例えリスクがあろうとも危険を顧みずに全身全霊でレースに徹する。ノリスは「僕らドライバーは常に多くのリスクを取っているんだから」と強調し、改善を繰り返し訴えた。

ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラによると、摩耗の程度という点では左リアタイヤと左フロントはさほど違いがなく、壊れたタイヤは100%近くにまですり減っており、同時にパンクの前後どちらのタイミングで発生したのかは調査が必要なものの、サイドウォールに切り傷が見つかったと言う。

ラボでの詳細な調査結果を待つ必要があるものの、現時点でイゾラは、摩耗したタイヤがロサイルの縁石による激しい衝撃に耐えきれなかった可能性があるとの見方を示している。


11月21日(日)にロサイル・インターナショナル・サーキットで行われた2021年F1第20戦カタールグランプリ決勝レースでは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、3位にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が続く結果となった。

ロサイルと並び初開催となるジェッダ市街地コースを舞台とする次戦サウジアラビアGPは12月3日のフリー走行1で幕を開ける。

F1カタールGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了