ルクレール、悲願の母国初優勝「言葉では言い表せない」角田8位…1周目に4台DNFの大混乱 / F1モナコGP 2024 《決勝》結果と詳報

悲願の母国初優勝を果たしてフェラーリSF-24の上でガッツポーズを取るシャルル・ルクレール、2024年5月26日F1モナコGPCourtesy Of FORMULA 1

2024シーズンのFIA-F1世界選手権第8戦モナコGP決勝レースが現地5月26日にモンテカルロ市街地コースで行われ、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がポール・トゥ・ウインで悲願の母国初優勝を飾った。角田裕毅(RB)は8位入賞を果たした。

本大会を含めて3度に渡って母国ポールを掴みながらも、これまで表彰台にすら上がれなかった26歳のモナコ人ドライバーは「言葉では言い表せないよ」と複雑な表情を浮かべて笑った。

「ポールを手にしたのに2回、勝てなかった事を思うと、今日の勝利はそれ以上の意味があると思う」

「モナコは僕がF1ドライバーになる夢を抱くきっかけとなったレースだ。ラスト15周は何も起こらない事を祈っていた。感情がこみ上げてきたよ。父(2017年に他界)のことを考えていたんだ。彼は僕をここに連れてくるためにすべてを捧げた。彼の夢は僕がここでレースをして勝つ事だった。だから、最高だよ」

1周目にハース勢とセルジオ・ペレス(レッドブル)が絡む多重クラッシュが発生した事で、レースは早々に赤旗中断を余儀なくされた。再開後はオーバーテイクもピットストップもない典型的な”フォーミュラ1モナコ・パレードラン”となった。

カルロス・サインツは1周目の接触でパンクによる停車を強いられたが、赤旗に救われてポジションそのままにレースに復帰。オスカー・ピアストリ(マクラーレン)に次ぐ3位でフィニッシュし、フェラーリがダブル表彰台に上がった。

角田裕毅はスタートポジションを守り切り、8位フィニッシュによって3戦連続入賞を果たした。伝統のモナコGPで日本人ドライバーが入賞したのは2011年に5位を獲得した小林可夢偉以来13年ぶり。入賞はスプリントを含めて今季6回目だ。

アレックス・アルボンは9位でチェッカーを受け、チームにとっても自身にとっても今季初となる入賞を飾り、2017年以来初となるモナコでのポイントをウィリアムズにもたらした。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)は1周目に僚友エステバン・オコンに突っ込まれるインシデントに見舞われたが、ミディアムタイヤを堅実にマネジメントして10位と、今季初のポイント獲得を果たした。

レース概要

決勝は日本時間26日(日)22時にブラックアウトを迎え、1周3340mのコースを78周する事で争われた。現地モンテカルロは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温22℃、路面48℃のドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。レースでは実質的に、ミディアムとハードを使う1ストッパーが主流となった。

オープニングラップでは、ルクレールが華麗にスタートを切ってサン・デボーテでリードを守り、その日の仕事の大部分を終えたかに思われたが、3台が絡む大クラッシュが発生。赤旗が振られた。

ケビン・マグヌッセンはボー・リバージュ(ターン2)に向けて丘を登る途中でレッドブルのイン側に入ろうとしてセルジオ・ペレスに接触。揃ってバリアに激突した。ハースの僚友ニコ・ヒュルケンベルグがこれに巻き込まれた。

ペレスのマシンは甚大なダメージを負い、モノコックのみという変わり果てた姿になった。コースには大量のデブリが飛散。大きな事故であったが、幸いにも3名のドライバー全員が無傷でクルマから降りた。 マグヌッセンの行為は全く賢明ではなかったが、ミラーでマグヌッセンを確認しながらも壁に寄っていったペレスのドライビングもまた不可解だった。

これとは別にサン・デボーテではサインツの左フロントがピアストリと接触。パンクに見舞われたサインツはその後、カジノ前で停止し、赤旗中に足を引きずりながらピットへと戻っていった。

赤旗中断の恩恵を受けマクラーレンは、ピアストリ車のサイドポッドこそ交換できたものの、フロアに関しては時間が足らず、簡易的な補修に留まった。

トンネルへと向かうポルティエでは、オコンがアルピーヌの僚友ガスリーのイン側に突っ込み、ホイール同士がぶつかった事でオコンが宙高く舞い上がった。オコンはピットに戻ったがレース続行を諦めた。

ガスリーは無線を通して「あいつは何をやってるんだ!? なんで僕を攻撃しようとしてるんだ!なんてこった、クルマ全体がダメージを負ったじゃないか!」と怒りを爆発させた。

スチュワードはオコンに10秒ペナルティを科す決定を下した。リタイヤにより消化できないため、次戦カナダGPでこれに代わって5グリッド降格ペナルティが科される。

リスタートのグリッドについてスチュワードは、元のスターティンググリッドを選択した。サインツにとってはこれ以上ない朗報となった。

当初のスタートでハードタイヤを選択したドライバーにとって、再度のピットストップを避けるためにはミディアムを履かなければならない。赤旗が振られた後、ハードタイヤを履いていたハミルトンは無線で苛立った様子を見せた。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1モナコGPのドライバー別スタートタイヤ、2024年5月26日

リスタートではローガン・サージェント(ウィリアムズ)のみ、最初のスタートと同じハードタイヤを選択。その他はノンストップを狙い最初のスタートとは異なるコンパウンドを装着した。

スタンディングで再開されたレースの1周目は大きな混乱もなく全車がラップを終えた。フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)はリカルドを交わして12番手に浮上した。その後はモナコらしい、コース上のアクションが乏しい極めて単調なレース展開となった。

こうした状況では戦略を含むチームプレイにスポットライトが当たる。

ハードタイヤを履くトップ4と、より慎重なケアを要するミディアムを履く5番手ラッセルとのギャップが拡大する状況を懸念した3番手サインツは、後方4番手を走るノリスにフリーストップを与えぬよう、ラップをリードするルクレールにペースダウンを指示するべきだとチームに進言した。

ピットウォールはルクレールに「もっと速度を落とせ」と伝え、ルクレールは以降、5番手ラッセルのペースに合わせてレースをコントロール。マクラーレンの逆転の芽を摘んだ。

アストンマーチンもチームメイト同士が連携した。アロンソは前方11番手を走る僚友ランス・ストロールにフリーストップを与えるべく低速で周回を重ねた。ポジションを失わずにハードに履き替えられるだけの十分なギャップを手にしたストロールは44周目にピットイン。ガスリーが保持する10番手を狙いに行ったが、壁に接触して左リアをパンクさせてしまい、50周目に再度タイヤを交換。アロンソの努力は徒労に終わった。

7番手を走るハミルトンは51周目、角田裕毅との間の広大なギャップを利用してポジションを落とさずにタイヤを交換。これに対してレッドブルはカウンターを打ち、翌52周目に6番手を走行していたフェルスタッペンをピットインさせ、ハミルトンの前でコースに送り出した。

ハミルトンは「アウトラップが重要だって、どうして言わなかったんだ?」と無線を通して怒鳴り、フェルスタッペンを交わすチャンスを得るために、アウトラップでプッシュするよう指示がなかった事に腹を立てた。

2024年F1第8戦モナコGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 78 2:23:15.554 25
2 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 78 +7.152s 18
3 55 カルロス・サインツ フェラーリ 78 +7.585s 15
4 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 78 +8.650s 12
5 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 78 +13.309s 10
6 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 78 +13.853s 8
7 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 78 +14.908s 7
8 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 77 +1 lap 4
9 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 77 +1 lap 2
10 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 77 +1 lap 1
11 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 76 +2 laps 0
12 3 ダニエル・リカルド RB ホンダRBPT 76 +2 laps 0
13 77 バルテリ・ボッタス ザウバー・フェラーリ 76 +2 laps 0
14 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 76 +2 laps 0
15 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 76 +2 laps 0
16 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 76 +2 laps 0
NC 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 0 DNF 0
NC 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 0 DNF 0
NC 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 0 DNF 0
NC 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 0 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温22℃
路面温度48℃

セッション概要

グランプリ名 F1モナコGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 モンテカルロ市街地コース
設立 1929年
全長 3340m
コーナー数 18
周回方向 時計回り

F1モナコGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了