メルセデスF1、物議を醸したキングスパン社との契約を解除…僅か1週間

メルセデスW12に掲げられたキングスパンのロゴ、F1サウジアラビアGPにてCourtesy Of Daimler AG

メルセデスF1チームは最終アブダビGPを翌々日後に控えた2021年12月8日、物議を醸したキングスパン社とのスポンサーシップ契約を両者同意のもとで解除したと発表した。僅か1週間での終了となった。

英国ブラックリーのチームは契約について、声明の中で「意図していた通りにポジティブな影響があったものの、両当事者はその後、現時点でパートナーシップを続けることは適切ではないと結論づけ、即時解除する事で合意した」と説明した。

F1第21戦サウジアラビアGPに先立って両者は契約を発表。ジェッダ市街地コースで今季型W12のノーズにキングスパンのロゴが掲載されたが、74名が亡くなった2017年のグレンフェル・タワー火災事件と同社との関係を巡って関係団体からの批判にさらされた。

4年前の6月14日、ノース・ケンジントンにある24階建ての高層アパート「グレンフェル・タワー」で火災が発生。第二次世界大戦以降としては英国史上最悪の住宅火災事故となった。同アパートには同社製の断熱材が使われていた。現在審理が行われている。

被害者や遺族から成る「グレンフェル・ユナイテッド」は契約発表に際して「本当にショッキング」として「”いつもの事”では済まされない。F1に倫理や価値観が存在する事を、そして行動には結果が伴うことを示して頂きたい」とメルセデスに契約解除を迫った。

なおキングスパンはグレンフェル・タワーの外壁クラッドを製造していないと主張しており、同社の断熱材「K15」が実際に使われていた事については、与り知らないところで第3者が勝手に使用したとして「当社はグレンフェル・タワーにK15を供給しておらず、また使用する事を推奨してもいない」としている。

「査問委員会は、グレンフェル・タワーで急速に延焼した『主な原因』は、建物の外壁に使用されていたポリエチレン・コアードACMクラッドであると述べている。これを使用したファサードシステムは、使用する断熱材の種類に関わらず、求められる大規模システム火災試験に合格する事はなかっただろう。我々のK15断熱材は、この安全性の低い不適合なシステムに誤って使用されたのだ」

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