期待外れのマクラーレンF1、遅かったのはエンジンではなく車体が原因? グループ再編で挽回なるか?
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「遅いのは全部ホンダエンジンのせい」
昨年、成績不振の原因が全て日本のエンジンパートナーにあるかのような発言を繰り返していたマクラーレンだが、決別を経て挑んだF1バーレーンGPのリザルトは、問題の所在がホンダではなくマクラーレン自身にあった事を示すかのような残酷なものとなった。
筆頭株主が見つめる前での”大失態”
開幕戦をこれ以上ない成功裏に終え挑んだバーレーン公式予選、3強チームの一角を成すレッドブルへの挑戦を口にしていたフェルナンド・アロンソは13番手、ストフェル・バンドーンは14番手と、レッドブルはおろか2台揃ってトロロッソ・ホンダに完敗、その差は1秒近い大差となった。アロンソに至っては、首の皮一枚繋がる形で辛うじてQ2進出、本人も厳しい表情を浮かべるほど程に遅かった。
© Mclaren
チーム代表を務めるエリック・ブーリエは、エンジニアとの「緊急報告会」を理由に、不甲斐ない結果に終わった予選後の定例会見をドタン場でキャンセルした。バーレーンGPは筆頭株主のお膝元でありホームレースの扱いを受ける重要な一戦、同じく大株主のマンスール・オジェも見つめる中でのホンダへの惨敗は、理由がどうあれ許されるような失態ではなかった。
遅さの原因が車体にある事を認めたブーリエ
2台揃ってのQ2敗退が決定した直後、ブーリエは英スカイのインタビューに応じ「我々は去年もバーレーンで苦労していた。このサーキットのレイアウトについて分析してみる必要がある」とこぼした。
昨年と今年で変わったのは搭載してるエンジン、変わっていないのはマクラーレン製の車体。ブーリエの発言はいみじくも、少なくともバーレーンにおけるマクラーレンの遅さの一端は、エンジンではなく車体側にあった事を暗に認めた形となった。
マクラーレンは度々、”グリッド最強のシャシー”を有していると喧伝してきたが、同じルノーエンジンを使用するレッドブルよりも1周あたり2秒程度遅れを取っており、その綻びが目立ちつつある。
2戦連続でのダブル入賞はリザルトとしては申し分ないと言えるが、周囲のアクシデントの恩恵をモロに受けているだけに、不十分なマシン性能はブーリエのみならずアロンソも認めるところ。結果には安堵しつつも、予選後も決勝後もアロンソはチームを鼓舞、冷静に状況を見据えている。
優勝や表彰台争いという自分たちが定めた目標とは程遠い、期待はずれのシーズン開幕を迎えたマクラーレンはバーレーンGP終了後の4月10日、グループの再編と組織変更を実施した事を明らかにした。
ザク・ブラウンをCEOに据える組織編成、挽回なるか?
マクラーレンは、レース部門を持つマクラーレン・テクノロジー・グループと、市販車及びマーケティング部門を持つマクラーレン・アプライド・テクノロジーズの2つの部門から構成されていたが、アプライド・テクノロジーズ、オートモーティブ、レーシングの3つに再編。マクラーレン・テクノロジー・グループという枠組みは解体され各々にCEOが配置された。
3部門を統括するのは、マンスール・オジェとシャイク・ムハンマドが指揮する上級委員会。執行委員会代表のシェイク・モハメド・ビン・イーサ・アール・ハリーファは、マクラーレン・グループの半数以上の株式を保有する筆頭株主だ。
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F1を運営するレーシング部門はマクラーレン・テクノロジー・グループから独立、ザク・ブラウンが最高経営責任者(CEO)の座に就いた。F1チームのレーシング・ディレクターを務めるエリック・ブーリエは現職に留まり、ブラウン直属の部下として引き続きチーム運営の実務責任者を務める。
これまではテクノロジー・グループにおけるエグゼクティブ・ディレクターの肩書でビジネス面を担当していたブラウンだが、今後はレース部門の職務を担当、その全責任を引き受ける事になる。見方によっては逃げ道が完全に塞がれたとも言えるため、ブラウンにとっては身の引き締まる想いだろう。
ホンダからの多額の資金提供を失った今のマクラーレンチームに求められているのは、来季以降の表彰台争いに向けての筋道の確立と、これを担保に大型スポンサーの興味関心を引く事の2点に尽きる。広告塔として大きな存在感を持つアロンソが今季限りでチームを離れ、かつ将来のポディウム争いの見通しも立たないような状況に陥れば、マクラーレン復権の夢は致命的な傷を負いかねない。
ビッグマウスは程々にして改善に向けての堅実な作業を期待したいところだが、まずはレース部門の直属の責任者となったブラウンの手法に大きな注目が集まる。