ランド・ノリス、傑出した時間”ズームイン”認識能力…歴代F1王者と肩を並べるとマクラーレン

3位表彰台に上がったランド・ノリスとマクラーレンのアンドレア・ステラ代表、2023年10月8日F1カタールGPCourtesy Of McLaren

マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレア・ステラによると、ランド・ノリスはミハエル・シューマッハやキミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソと言った偉大なドライバーたちと同じように、時間をクローズアップして知覚する能力が秀でているという。

2017年の欧州F3選手権制覇と2018年のFIA-F2選手権2位を経て、2019年にマクラーレンからデビューを果たしたノリスは、2年目のオーストリアGPで初の表彰台を獲得。未だ優勝経験はないものの、通算11回の登壇と共にトップドライバーとしての立場を確立させつつある。

Courtesy Of McLaren

2位表彰台を経てシャンパンシャワーを楽しむランド・ノリス(マクラーレン)、2023年7月23日F1ハンガリーGP

ノリスの「際立った」能力についてステラは、ポッドキャスト「Beyond The Grid」の中で、「幸運にも私が共に仕事をすることができた他のトップドライバーと同じように、ランドは時間に対する認識が大いにズームインされているという特徴がある」と語った。

「彼は30秒間の出来事を1時間で起きた事かのように話をする。僅かなものを含めて、クルマに起きているあらゆる事象を知覚し、これを細分化する彼の能力は本当に印象的だ」

ステラはまた、先に挙げた偉大なドライバー達が持ち合わせていた王者足る資質をノリスが身につけつつあるとした上で、「天性のスピード」という面ではこれらのビッグネームと肩を並べる実力があると主張した。

ただし「真の成功要因はレースクラフトを更に発展させていくところにある。完璧なクルマは決して手に入らない。ゆえに可能な限りの適応性を育む事が重要だ。完璧なシチュエーションはあり得ない」とも述べ、ノリスが大成するには状況判断や適応と言ったレースで求められる腕やテクニック、見識を更に磨き上げていく必要があるとも指摘した。

Courtesy Of McLaren

メディア対応するマクラーレンのアンドレア・ステラ代表、2023年F1第14戦イタリアGPにて

一方でチームとしては「彼の資質を活かせるようなマシンを与える事」が重要だと付け加え、それを「使命」とも表現した。

「毎年向上している、というのは誰もが口にする要素の一つだが、実際にそれを実現するために、あらゆるチャンスを活かすという強い決意を持ってこれに取り組む人がどれだけいるだろうか?それこそが違いを生むのだ」とステラは語る。

「チームに加わった時点でランドは、この点においてほぼ成熟していたと言わざるを得ない。 この重要性について、ジュニアカテゴリーを通して経験してきたのだろう。彼は既に、この継続的な改善に対する考え方を持ち合わせていた」

「彼は明らかに、F1のトップドライバーの一人としての地位を確立しつつある。生粋の速さに加えて、彼のレースクラフトが如何に成熟しているかについて、ますます明らかになってきていると思う」

「例えば、我々がよく『マクラーレンの特徴』と呼んでいるマシンバランス面での欠点について彼は上手く対処してきたわけだが、これは彼の継続的な改善の賜物だ」

「これは1日毎ではなく、僅かな進歩を常に積み重ねていくというゲームであり、重要な一歩を踏み出したのがいつなのか、正確に思い出せないような状態になるのが常だ。日々に渡って小さな一歩を踏み明日ためには、先程話したような決意が必要だ」

「我々には成功するマシンをランドに提供するという使命がある。今シーズンの初めはこれに応えられなかったが、彼は我々をサポートし続けてくれた。ランドがチーム内で権威と尊敬を獲得したことを私は本当に嬉しく思っている」

「このような長い旅路においては、文化や個人的な要素に立ち戻ることが重要だ。物事が上手くいっていない状況で示した行動と模範によって、ランドは今の立場を手にしたのだと思う」

今週末のアメリカGPでキャリア通算100レースの節目を迎えるノリスはこれを記念して、100個のステッカーを貼ったネオンイエローのスペシャルヘルメットを装着する。

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