夏休み前の勢いが消滅したメルセデスF1、大規模アップグレードで後半巻き返しへ
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メルセデスはコンストラクターズ選手権4位がほぼ確定的な状況だが、2024年シーズンのラスト6戦目となる10月のアメリカGPで、W15に大規模なアップグレードを導入する計画だ。
メルセデスはサマーブレイク前の4戦中3戦で勝利を挙げ、遂にグランドエフェクトカー時代の困難を乗り越えたかに思われたが、夏休み明けは一度も優勝できていない。
サマーブレイク前のスパで導入されたフロアのアップグレードは上手く機能せず、先週末のアゼルバイジャンGPでは旧スペックを使ったが、それでもクルマは依然として一貫性を欠いていた。
シンガポールGPでも引き続き旧スペックの使用が予想される中、トラックサイド部門を率いるアンドリュー・ショブリンは次のように述べ、シンガポールの翌戦に新たなアップグレードを投じる計画だと説明した。
「我々は毎レースでパフォーマンスを向上させることを目指しているが、現在の主な焦点はオースティンに大規模なパッケージを持ち込むことだ」
「その後も、より小規模なアップデートを予定しているが、現在はオースティンでの大型アップデートに全力を注いでいる」
これによりサマーブレイク前の競争力を取り戻し、再び優勝争いに絡んでくるのかどうかは蓋を開けてみるまで分からない。
グランドエフェクトカー時代のフロアのアップグレードは常にそうだが、ダウンフォースが増加しても、空力負荷が不安定になったりバランスが悪化するなどして、かえってパフォーマンスを失う例が多く目に付く。
バクーでは、ライバルの不運によりジョージ・ラッセルが3位表彰台に上がったが、ルイス・ハミルトンは予選で苦しみ、パワーユニットを交換してピットレーンからレースに臨んだ。
ショヴリンは、この状況を利用してハミルトンのクルマのセットアップを変更し、レースを通してテストしたと明かした。
「予選後、ルイスはクルマの扱いに苦しんでいたが、ジョージはその時点でコースに適したセットアップとバランスを見つけていた」とショヴリンは説明した。
「そのため、ルイスはエンジニアのボノ(ピーター・ボニントン)と共に、セットアップという点でクルマがよりスムーズに曲がれるような変更を検討した。そして、それらの変更がレース用のクルマに組み込まれた」
「新しいパーツや実験的なパーツを投入したわけではない。通常であれば予選とレースの間に大幅なセットアップ変更をすることはできないが、(PU交換によりピットレーンスタートが決定していたため)今回はその機会を得たということだ」
データが得られたことは有益だったが、この試みはハミルトンに「これまでに経験した中で最悪のバランス」でのドライブを強いることとなった。
7度のF1ワールドチャンピオンはレース後、「フロントのグリップが強い一方でリアが全くなく、ステアリング操作を通してフロントのトラクションを殺し、コーナー毎にフロントを滑らせなきゃならなかった。こんなに奇妙な方法でドライブしたのは初めてだよ」と明かした。