マグヌッセン、”愚かな戦術”再び「やらざるを得なかった」理解と称賛を表すハミルトン
Published:
F1マイアミGPスプリントでケビン・マグヌッセン(ハース)は、サウジアラビアGPで角田裕毅(RBフォーミュラ1)相手に用いた戦術をルイス・ハミルトン(メルセデス)に行使せざるを得ず、4回に渡って違反裁定を受け、計35秒ものペナルティを科された。
アストンマーチン勢とランド・ノリス(マクラーレン)が関与したターン1での混乱をくぐり抜け、オープニングラップで14番手から8番手に急浮上したマグヌッセンは、前を行く僚友ニコ・ヒュルケンベルグのDRSの助けを借り、後続ハミルトンからポジションを守っていた。
だが、ヒュルケンベルグのDRSを失うと、ハミルトンにとっての”鴨”に成り下がり猛攻を受け、3度に渡ってコースオフを繰り返して前方を維持し、スチュワードから3回に分けて計30秒のタイムペナルティを科された。
更に、度重なるトラックリミット違反によって追加で5秒を受け、「スポーツマンシップに悖る行為」があった疑いがあるとして、レース後にスチュワードから呼び出しを受けた。
レースを終えたマグヌッセンは、ヒュルケンベルグの7位を確保するために、やらざるを得なかった「愚かな戦術」であると説明し、全てのペナルティは科されて「当然」のものだったと認めた。
「ニコのDRSもあったしペースも良かったから、ルイスから上手くポジションを守っていたけど、ニコがシケインをカットして、それによってDRSを失ってしまった」とマグヌッセンは振り返った。
「ニコがもう一度、DRSを与えてくれれば、僕らは楽に7位と8位でフィニッシュしていただろうけど、実際にはルイスの脅威にさらされる事になり、クレイジーなバトルが始まり、やりたくはなかったけど、ジェッダでやったような愚かな戦術でギャップを作るしかなかった」
「最終的にはニコがポイントを獲得して、チームプレーヤーとしての仕事を果たした。僕が築いたギャップによって、ルイスとツノダは彼に追いつくことができなかった」
「あれは一切、僕が好むやり方じゃないけど、今日はそれをやらざるを得なかった」
自身が採った戦術にマグヌッセンが不快感を覚えるのは当然で、ハースチームもまた少なからずそう感じている事だろうが、競技としてのF1の価値が損なわれ得るものである事は確かで、批判的な見方が出るのもやむを得ない。
ただ、もし責められるべき対象があるのだとすれば、それはマグヌッセンやハースではなく、この手の行為に対してタイムペナルティしか科す事のできないルールであり、ジェッダで表面化していたにも関わらず、これを放置した統括団体のFIAだろう。
例えばもし、ポジションの返上を命令できる権限がスチュワードにあれば、避けられた展開だったと言える。
中団チームにとって1ポイントは本当に貴重だ。上位5チームは別格で、ハースを含めた残り5チームにとっては、あらゆるチャンスを最大限に活かすことなくして入賞は叶わない。
長きに渡ってこのスポーツの第一人者であり続けているハミルトンはマグヌッセンを非難するどころか、その率直な釈明に感銘を受けた。
マグヌッセンの発言が伝えられると7度のF1ワールドチャンピオンは「本当に正直な気持ちなんだと思う。凄くクールだよ」と語った。
「良いレースができた。少しギリギリの部分もあったけど、僕はそういうレースが好きだ。ハードに戦うレースが僕は大好きだし、特にフラストレーションを感じる事もなかった」
「それがチームとして働くってことなんだ。だからブラボーだよ」