インディカー第5戦インディGP決勝:ヴィーケイ初V!グロージャン 15年スパ以来の登壇、佐藤琢磨奮わず 500連覇に向け「心機一転」

リーナス・ヴィーケイにシャンパンをかけるロマン・グロージャンとアレックス・パロウ、2021年5月15日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催されたインディカー第5戦インディGP決勝の表彰台にてCourtesy Of Indycar

2021NTTインディカー・シリーズ第5戦GMRグランプリ決勝レースが5月15日(土)にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で行われ、20歳のオランダ人ドライバー、リーナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター)がキャリア初優勝を飾った。

史上6番目の若きウィナー

キャリア19戦目を迎えたヴィーケイは、6番手を走行していた13周という早い段階でピットストップを行い、ペースの上がらないブラックタイヤを早々に捨ててレッドタイヤに切り替えた。

ブラックに履き替えた直後のロマン・グロージャンを交わして48周目に首位に立つと、その後は一歩も譲らず4.9510秒差でトップチェッカーを受け、史上6番目の若さでシリーズ初優勝を果たした。

ヴィーケイは直下のインディ・ライツ、インディ・プロ2000、USF2000の3つフィーダーシリーズを含めたインディカー全シリーズで勝利した史上初のドライバーとなった。

エド・カーペンター・レーシングにとっては2016年7月のアイオワでのジョセフ・ニューガーデン以来の勝利だった。

優勝できると考えていたかと問われたヴィーケイは「そう思っていた」と自信満々にコメント。「チームのみんなに感謝している。彼らなしでは成し遂げられなかった。去年ここで初めて表彰台に立って、今度は優勝なんて夢のようだ」と付け加えた。

グロージャン、F1ベルギーGP以来の表彰台

最多44周のラップリードを築きながらもポール・トゥ・ウインが叶わなかったグロージャンだが、ロータス時代の2015年F1ベルギーGP以来の表彰台に上がり満面の笑みを浮かべた。

「本当に素晴らしい日だ」とグロージャン。

「今週末は本当にいい仕事ができたと思う。今日の僕らは超速かった。周回遅れのクルマに捕まるなど少し不運もあったけど、インディカー転向後3レース目での2位は悪くない結果だ」

Courtesy Of Indycar

2位トロフィーを手に笑顔のロマン・グロージャン、インディGP決勝の表彰台にて

佐藤琢磨は過去の相性の悪さを払拭できず

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は17番グリッドからスタート。攻めの姿勢で11周目という早い段階でピットに向うも、ホイールガンのホースが車体に引っかかるトラブルに見舞われた。

接触しながらグロージャンにラップダウンされる場面もあったが、直ぐにこれを抜き返してラップバック。35周目にはフェリックス・ローゼンクビストをパスしてポジションを上げるも全体としてペースは奮わず、16位フィニッシュに終わった。

レースを振り返った佐藤琢磨は、クリーンエアーの中での走行が限られた事もありレースペースが上がらなかったと説明。戦略面での反省を口にした。また、燃料セーブの影響もあり、ペースに劣るブラックタイヤ勢に足止めされた事で「フラストレーションが溜まるレースになった」と評価した。

5戦を終えてトップ10フィニッシュ2回と、なかなか調子が上がらない状況が続いているが、18日(火)よりプラクティスが始まるインディ500での2連覇に向けて「心機一転、挑みたいと思います」と切り替えた。

Courtesy Of Indycar

タイヤスモークを上げるレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2021年5月15日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催されたインディカー第5戦インディGP決勝にて

ランキングリーダーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は16番手スタートながらも、1周目の混乱に乗じて先手必勝のピットストップを実施。あれよあれよとポジションを上げていき最終9位でフィニッシュ。3位表彰台に滑り込んだランキング2位のアレックス・パロウとのマージンを守り抜き、13ポイント差で首位をキープした。

レース概要

Courtesy Of Indycar

2021年5月15日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで開催されたインディカー第5戦インディGP決勝スタート直後の様子

レースは85周、距離にして207.3マイル(333.6km)で争われた。序盤と終盤に雨粒が軽く路面を濡らしたがドライコンディションのままに97分の激戦を終えた。

オープニングラップのターン2では接触があり、予選6番手のコナー・デイリー(カーリン)がシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)にリアを引っ掛けられストップ。本大会唯一のフルコースイエローが出された。ペナルティはなかった。

この事故に巻き込まれた佐藤琢磨の僚友グレアム・レイホールは後方に転落したが、レース戦略が功を奏して5位フィニッシュを果たした。

5周目にリスタートを迎えると、ラップリーダーのグロージャンは後続を1周あたりコンマ5秒引き離す圧倒的なペースでギャップを広げていった。

ブラックタイヤ勢はペースが上がらず、佐藤琢磨の11周目のピットインを皮切りに各車続々ピットに向かった。

表彰台を争いを繰り広げていたジャック・ハーベイ(メイヤーシャンク)は、36周目に2回目のピットストップを行うもエンジンストールに見舞われタイムロス。更に右リアタイヤにパンクを抱えたことで再度のピットストップを強いられ、挙げ句にこの時のピットでのアクションに関してドライブスルー・ペナルティーが科せられ戦線離脱した。

48周目、ヴィーケイがブラックタイヤに履き替えてのアウトラップを走るグロージャンに仕掛けてオーバーテイク。これで勝負が決した。

2021年:インディGP 決勝結果

Pos. Start Driver Gap
1 7 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
–.—-
2 1 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
4.9510
3 4 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
15.0726
4 2 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
18.4472
5 11 グレアム・レイホール
RLL Racing
26.9813
6 10 シモン・パジェノー
Team Penske
27.8704
7 14 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
33.2703
8 5 スコット・マクラフラン
Team Penske
36.1862
9 16 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
36.8362
10 15 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
37.1971
11 12 ウィル・パワー
Team Penske
39.8020
12 19 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
40.3892
13 8 コルトン・ハータ
Andretti
43.1147
14 9 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
43.8110
15 18 パトリシオ・オワード
McLaren SP
44.5448
16 17 佐藤琢磨
RLL Racing
44.9971
17 13 フェリックス・ローゼンクビスト
McLaren SP
45.4208
18 22 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
1:05.1989
19 20 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
1 lap
20 24 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
1 lap
21 25 ファン・パブロ・モントーヤ
McLaren SP
1 lap
22 21 チャーリー・キンボール
A.J. Foyt
1 lap
23 3 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
1 lap
24 23 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
1 lap
25 6 コナー・デイリー
Carlin
35 lap

インディGP 決勝後のランキング

レースを終えてのドライバーズランキングは以下の通り。インディGPに参戦したドライバーを対象とする。

Pos. Driver Pts. Total Gap
1 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
23 176 0
2 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
36 163 -13
3 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
32 148 -28
4 パトリシオ・オワード
McLaren SP
15 146 -30
5 グレアム・レイホール
RLL Racing
30 137 -39
6 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
51 135 -41
7 シモン・パジェノー
Team Penske
28 130 -46
8 スコット・マクラフラン
Team Penske
24 123 -53
9 ウィル・パワー
Team Penske
19 118 -58
10 コルトン・ハータ
Andretti
17 117 -59
11 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
20 99 -77
12 佐藤琢磨
RLL Racing
14 98 -78
13 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
7 97 -79
14 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
26 91 -85
15 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
44 81 -95
16 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
11 79 -97
17 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
19 75 -101
18 フェリックス・ローゼンクビスト
McLaren SP
13 71 -105
19 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
16 67 -109
20 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
12 56 -120
21 コナー・デイリー
Carlin
5 48 -128
22 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
10 48 -128
25 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
6 25 -151
28 ファン・パブロ・モントーヤ
McLaren SP
9 9 -167
29 チャーリー・キンボール
A.J. Foyt
8 8 -168

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了