フェルスタッペン、ハードタイヤ戦略は「あり得ない」フェラーリとは対照的に英断下したレッドブルを称賛
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レッドブルは当初、F1第13戦ハンガリーGPをハードタイヤでスタートする計画を立てていたが、レコノサンスラップでの状況を踏まえて柔軟に戦略を変更する英断を下した。マックス・フェルスタッペンに言わせれば、コンディション的にハードを履くのは「あり得ない」状況だったようだ。
ハードは間違いなく不適切なレースタイヤ
フェルスタッペンは予選でエンジントラブルに見舞われ10番手、チームメイトのセルジオ・ペレスも11番手と、レースでの巻き返しを目指すレッドブルは当初、ハードを履いて第1スティントを引っ張るのが最善の策だと考えていた。
ソフトタイヤからミディアムタイヤに履き替えるマックス・フェルスタッペン（レッドブル）、2022年7月31日F1ハンガリーGP決勝レース
だがレコノサンスラップに向かったドライバー達がソフトコンパウンドを履いていたにも関わらず、あまりのグリップ不足を報告してきた事から当初の計画を捨て去り、ハードではなくソフトでのスタートに戦略を切り替えた。
実際、路面温度は最大でも28℃程度と非常に涼しく、小雨が落ち続けたこの日のレースでは、フェラーリからハードタイヤを充てがわれたシャルル・ルクレールがズルズルと後退。目論見外れて余計なピットストップを余儀なくされ、一時はラップをリードしていたものの6位に終わった。
一方のフェルスタッペンはソフト、ミディアム、ミディアムと繋ぎ、カレンダーの中で最もオーバーテイクが困難なコースの1つであるハンガロリンクで、派手にスピンを喫する場面がありながらも、10番グリッドからの大逆転優勝を飾った。
「ハードタイヤでスタートする計画だったんだけど、グリッドに向かう際にソフトを履いて出ていった時点で既にグリップが酷かったから『ハードで始めるなんてあり得ない』って感じだった」とフェルスタッペン。
「ハードタイヤでの作戦を練っておきながらソフトに替えたんだから、これもチームの功績さ」
「ハードタイヤは実際、本当にタフで、シャルル（ルクレール）とカルロス（サインツ）は酷くスライドしていたから僕としては大満足だよ。一旦ソフトに決めた後は、ハードの事は一切考えなかった」
「勿論、いつだって良い判断を下すのは本当に難しい事だけど、男も女も含めて僕のチームはたくさんの素晴らしいメンバーに恵まれてるんだ。今日は戦略家のハンナ（シュミッツ）がすごく落ち着いていて本当に良い仕事をしてくれた」
3位表彰台に上がったジョージ・ラッセルは、メルセデスもレッドブルと同じ様にハードタイヤについては検討しなかったと明かした。
ドライバーの声に耳を傾けるレッドブル
ポジションを落としてレースを終えたフェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツ、2022年7月31日F1ハンガリーGP
考え抜いて出した結論に固執せず、柔軟性を以て物事に対処するのは決して簡単な事ではない。実際、フェラーリはルクレールの要望を無視してミディアムでの第2スティントを早々に切り上げ、ハードを履かせるという失態を犯した。
だが、常勝を掲げるレッドブル・レーシングにとってドライバーの声に耳を傾け、柔軟に戦略を変更する事は、さほど難しい事ではないとフェルスタッペンは指摘する。
「グリッドに着くためのラップを終えた時点で当初の戦略が破綻してしまったから、変更して新しく練り直さなきゃならなかった」
「でも、チームにとってそれはそんなに難しい事じゃないと思う。彼らはすごく柔軟だし、自分たちが何をしているのか分かっているからね」
ドライバーズタイトルの連覇を目指すフェルスタッペンはサマーブレイクを前に、開幕からの前半13戦で8勝を挙げ、ランキング2位のルクレールに対するリードを優勝3回分以上に相当する80ポイントにまで広げた。
「もちろん、素晴らしいリードだけど、今日みたいな日が何度も訪れる事を期待できるわけじゃない」
「今日だって、クラッチやアップシフトにちょっとした問題が発生していたし、ドライビングという点では決して最高だったわけじゃないんだ」
「勿論、全体的には良い1日だったけど、僕らとしては兎に角、仕事に取り組んで物事を改善するために努力し続けるだけさ」
7月31日(日)にハンガロリンクで行われた2022年F1第13戦ハンガリーGP決勝では、10番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン（レッドブル）が逆転優勝を飾り、2位にルイス・ハミルトン、3位にジョージ・ラッセルとメルセデスがW表彰台に上がった。
F1はこれより3週間のサマーブレイクを迎える。スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは8月26日のフリー走行1で幕を開ける。