ルクレール、フェラーリの戦略判断に当惑…要望聞き入れずハードタイヤで「大惨事」ラップリードも6位に転落
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一時はラップをリードしながらも6位に終わったF1第13戦ハンガリーGPを経てシャルル・ルクレールは、優勝争いから脱落した”ターニングポイント”は、自らの要望を無視してハードタイヤへの切り替えを決定したフェラーリのピット戦略にあるとの考えを示した。
ランキング2位のルクレールはF1初ポールを獲得したジョージ・ラッセル(メルセデス)を31周目に交わしてトップに立ち、優勝を争う勢いを見せたものの、フェラーリお決まりの戦略コールによって一転、劣勢を余儀なくされる事となった。
ミディアムでのロングスティント要望を無視
レコノサンスラップの状況から、レースでハードタイヤを履くのは「あり得ない」と考えたレッドブル陣営やメルセデス陣営とは対照的に、フェラーリは2回目のピットストップでルクレールにハードタイヤを装着した。これが運命の分かれ道となった。
グリップ不足でペースが上がらないルクレールを捉えることは、ミディアムを履くマックス・フェルスタッペン(レッドブル)やラッセルにとっては造作もない事だった。
ルクレールは45周目にフェルスタッペンにトップを許すと、52周目にはラッセルにも交わされ3番手に後退。結局残り16周で再びピットへと向かい、ソフトに履き替えざるを得なかった。
ルクレールはレース後半を「大惨事」と表現した。
失意のレースを終えたルクレールは「僕はできるだけ長くミディアムで走り続けたいって明確に伝えていたのにハードに履き替える事になった。なぜなのか理解する必要がある」と当惑した様子を見せた。
「こういうレースはフラストレーションが溜まる。全体的に改善させていなきゃならない。信頼性にしろミスにしろ、常に何某かの問題を抱えているような気がする。もっと上手く週末をまとめていかないと」
「ミディアムタイヤでのペースは本当に良かったんだ。(ミディアムを履いた)第2スティントでは全てをコントロールできていたのに、ピットストップでハードに切り替える事になってしまった」
「正直なところ、ペースは凄く良かった。ただ、みんなが覚えているのはレース終盤の僕の大惨事の事だけだろうね。基本的には、僕がレースで負けた理由はあれだった」
「ピットストップで20秒、ハードでの5周でおそらく6秒の遅れをとってしまった」
功を奏したレッドブルの”揺さぶり”
悲劇の発端となったのはレッドブル陣営のピットコールだった。フェルスタッペンが3番手を走行していたカルロス・サインツのDRSを捕まえた瞬間、レッドブルはピットインを指示。ソフトタイヤを履かせた。
アンダーカットを警戒したフェラーリはカウンターを打ち、トップを走行していたルクレールをピットに呼んでハードタイヤを履かせた。ルクレールはレッドブルの揺さぶりに「反応すべきじゃなかった」と述べ、ステイアウトが正しい選択だったとの考えを示した。
シーズン前半最終のハンガリーでのレースを終えてルクレールは、残り9戦となったドライバーズ選手権でフェルスタッペンから80ポイントも離される事となった。
またメルセデスがW表彰台に上がった事で、フェラーリはコンストラクターズ選手権で首位レッドブルを追うというより、3位メルセデスから2位を狙われる立場に追い込まれた。レッドブルとの差が97点にまで拡大する一方、3位メルセデスとの差は30点にまで縮まった。
7月31日(日)にハンガロリンクで行われた2022年F1第13戦ハンガリーGP決勝では、10番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾り、2位にルイス・ハミルトン、3位にジョージ・ラッセルとメルセデスがW表彰台に上がった。
F1はこれより3週間のサマーブレイクを迎える。スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは8月26日のフリー走行1で幕を開ける。