諸刃の剣か? ガスリーに驚異のベガス予選3番手をもたらしたアルピーヌF1の策、マクラーレンすら警戒する競争力の背景
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2024年のF1ラスベガスGP予選におけるピエール・ガスリー(アルピーヌ)のパフォーマンスは、コンストラクターズ選手権をリードするマクラーレンやパドック全体、さらにはガスリー自身をも驚かせる驚異的なものであった。
今季開幕5戦をノーポイントで終え、シーズン中盤まで最下位争いに沈んでいたアルピーヌは、ここ数戦で突然の変貌を遂げた。
前戦サンパウロGPでアルピーヌは、奇跡のダブル表彰台を達成し、ウィリアムズ、ハース、RBを抜き去ってコンストラクターズ選手権9位から6位へ一気に浮上した。
ただし、このレースは赤旗やセーフティーカーが導入される特異なものであった。開幕20戦でわずか14ポイントしか獲得できなかったチームが、ブラジルで一気に35ポイントを稼ぎ出したのは確かに異例だ。
だが、ラスベガスGP予選の結果は、ブラジルでの成功が単なる偶然ではなく、チームの成長に裏付けられた成果であることを証明した。
闇夜に包まれたベガスでガスリーは、タイトル争いを繰り広げるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)やランド・ノリス(マクラーレン)といった強豪を凌駕する3番グリッドを持ち帰り、アルピーヌに今季の予選最高成績をもたらした。
コンディションは寒冷であり、独特なコース特性が影響したことは否定できないが、それでも3ラウンド全てがドライコンディションで行われ、真っ向勝負の結果であった。
「本当に信じられないよ!」とガスリーは笑顔を見せた。
「(開幕戦の)バーレーンでは2台揃って最後尾スタートだったのに、突然、ここ数週間で状況が一変したわけだからね」
「正直、予選でトップ3に入れるなんて思ってもみなかったけど、Q3の最後のセットでは、絶妙なタイミングで本当にスペシャルなラップをまとめることができた。ホント、嬉しい驚きだよ」
チーム代表のオリバー・オークスが認めたように、最近の競争力向上の背景には、アメリカGPでA524に導入された大規模なアップグレード・パッケージがある。
実際、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)は8番手に留まった予選を経て、最近のアルピーヌのペースを脅威に感じていると認めた。
「正直、アルピーヌが僕らの前にいることの方が気になる。ここ数週間のガスリーは明らかに速い。少なくとも3、4戦連続で、予選でかなりのパフォーマンスを見せていると思う」とピアストリは語った。
ガスリーは今回の結果について、チームの「アグレッシブなセットアップ戦略」の賜物だと説明した。
ラスベガス市街地コースは、4本のロングストレートが低速セクションで連結される独特なレイアウトを持つ。アルピーヌはコーナーでのパフォーマンス低下を受け入れつつ、極限までダウンフォースを削ってストレートスピードを最大化するアプローチを採用。これが功を奏したという。
ただし、ダウンフォース削減の代償として、路面との接地感が薄れ、レース中のタイヤマネジメントが難しくなるリスクがある。実際、ガスリーは昨年のラスベガスでも3番グリッドからスタートしたが、レース中盤で順位を落とし、11位でフィニッシュしている。
ガスリーは今回もトップチームに囲まれる形で表彰台圏内からレースをスタートするが、その視線はあくまで後方に向けられている。アルピーヌの最大の焦点は、コンストラクターズ選手権6位争いにあり、打ち負かすべきはハースやRBだ。
「今回の予選が最高に素晴らしいものになったのは確かだし、マックス(フェルスタッペン)やマクラーレン、それに他のみんなに先行できて良い気分だけど、結局のところ、僕らが戦うべき相手はそこじゃない。明日は全力を尽くすよ」とガスリーは締め括った。
2024年F1ラスベガスGP予選ではジョージ・ラッセル(メルセデス)がポールポジションを獲得。2番手にカルロス・サインツ(フェラーリ)、3番手にピエール・ガスリー(アルピーヌ)が続いた。
決勝は日本時間11月24日(日)15時にフォーメーションラップが開始され、1周6201mのラスベガス市街地コースを50周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。