シート存続の正念場を迎えるロバート・クビサ、仏GPで渦中のラティフィと直接対決
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ロバート・クビサが自身のシートを懸けた正念場を迎える。第8戦フランスGPではカナダでのFP1に続き、リザーブドライバーを務めるニコラス・ラティフィが金曜フリー走行に登場。週末最初のセッションでジョージ・ラッセルに代わって、再びウィリアムズFW42のステアリングを握る。
シニア・レースエンジニアを務めるデイブ・ロブソンは、モントリオールでのラティフィの走行が「成功裏に終わった」との認識を示した上で、今回の走行プログラムについて次のように説明した。「ニコラスは今回、ロバートと共にFP1の任務を分担する。ポール・リカール特有のタイヤパフォーマンスとセットアップ作業に取り組むだけでなく、クルマの長期的なポテンシャルを理解するのに役立つテストプログラムを行う予定だ」
ラティフィはカナダのFP1でラッセルから0.21秒遅れと印象的なタイムを刻んだ。コンディションは異なるが、クビサはFP2でラッセルから0.251秒遅れをマークしており、ラティフィはレギュラードライバーと比較して遜色ないペースを見せつけた事になる。
「モントリオールは本当にポジティブだった」とラティフィ。「僕は今度のル・カステレでの経験を、今後に向けた足掛かりにしたいと考えている。まったく別のトラックであり、サーキットの性質上リスクが非常に少ないため、もう少し強くプッシュできるはずだ」
カナダGPのFP1でウィリアムズFW42をドライブしたニコラス・ラティフィ
DAMSからFIA-F2選手権に参戦するラティフィは、現在95ポイントを獲得してチャンピオンシップをリード。同じ週末に同じポール・リカールで開催されるF2のセッションと並行して、ウィリアムズからF1のプラクティス走行に参加する。
「今週末はF1での仕事とF2レースの週末がバッティングしている。これはユニークなチャレンジだ。本当に楽しみにしているし、すごく忙しい週末になるだろうね」
瀕死のラリー事故を乗り越えて、今年クビサは8年ぶりにF1に復帰するも、過去7戦に渡ってチームメイトに遅れを取り、目立った成績を残せていない。クビサはラッセルの実力が確かなものであると認めるものの、彼との間のあまりにも大きなギャップは、両者のクルマに何らかの違いがある表れなのではと訝しんでいる。
ラティフィの地元カナダ紙は、シーズン中にクビサに代わってラティフィがシートを得る可能性があると報道。クビサのF1復帰の要となったポーランドの石油大手PKNオルレンも、今季限りでクビサに対する支援打ち切りの可能性を示唆しており、グローブのチームのシートは不透明な情勢となっている。
ラティフィの父マイケルはカナダ有数の大富豪として知られ、昨年には自身が所有するニダラ社を通して2億380万ポンド、日本円にして約278億円もの資本をマクラーレンに注入。主要株主の1人となっている。PKNオルレンのスポンサーマネーは1000万ドル(約11億円)、あるいは2500万ドル(約27億円)と噂されていることから、ラティフィがクビサと同程度のパフォーマンスを示し同額の資金を持ち込めば、シートを奪うことは難しくはない。
ポール・リカールは昨年、28年という長い空白の時を超えてF1にカムバックしたばかりだが、ベテランのクビサにとっては勝手知ったるコースだ。
「現行F1マシンが走るのは2年目だが、フォーミュラ3やワールドシリーズ・バイ・ルノーなどのテストで何度も走った事があるから、トラックについては熟知している」
「グラベルやランオフエリアが存在しない独特なコースだから、ここで再びレースが出来ることを楽しみにしている。長い高速コーナーやロングストレート、それに低速コーナーが組み合わさっており、コースとしてはチャレンジングだ」
「高速のロングコーナーではタイヤに多くの負荷とエネルギーがかかるし、週末は暑くなりそうだからタイヤにとっても厳しいだろう。レースに備えるためには、これらの点を精査する必要がある」
F1フランスGPは、日本時間2019年6月21日(金)18時からのフリー走行1で開幕。クビサとラティフィのラップタイムに大きな注目が集まる。