フェルスタッペン、残り2周で逆転「ハミルトンを抜くのはかなり楽だった」戦略のみならずセットアップ判断が功奏

2021年6月20日のF1フランスGP決勝を終えて、パフォーマンス・コーチのブラッドリー・スカンヌと一緒に優勝トロフィーを手に祝うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンCourtesy Of Red Bull Content Pool

メルセデスの牙城、ポール・リカール・サーキットでのF1第7戦フランスGPでキャリア通算13勝、今季3勝目を飾ったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、残り2周での逆転オーバーテイクを可能としたチームの戦略的及びセットアップ的判断を称賛した。

「楽なレースじゃなかった。特に序盤はね」とフェルスタッペンが語る通り、”ポール・トゥ・ウイン”という聞こえとは裏腹に、最後まで誰がトップチェッカーを受けるか全く読めない終始大接戦の53周だった。

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2021年6月20日F1フランスGP決勝レーススタート直後のメインストレートの様子

フェルスタッペンは1周目のターン2でコース外に飛び出てルイス・ハミルトンに先行を許した件について「本当に焦った」としたが「まだレースは始まったばかりだったし、何が起きるか分からないから、兎に角、集中して残りのレースを戦って追っていこうと気持ちを切り替えた」と語った。

結果的に1回目のピットストップでアンダーカットを成功させて早々にポジションを奪還する事になったわけだが、あれは予想外の出来事だったという。

「最初のスティントではルイスに迫れるだけのペースがなかったから、先行してピットストップするリスクを取った。正直なところ、ピットアウトした段階で彼の前に出られるほどアンダーカットが効くとは思ってなかったよ」

「その後、彼らに激しくプッシュされたけど、まったくミスが許されない状況の中、運良く先頭に留まる事ができた」

ラップリーダーの座を取り戻したフェルスタッペンは第2スティントの序盤こそハミルトンの接近を許して1秒以内に迫られる厳しい戦いを強いられるも、33周目には3.838秒まで引き離した。

このまま最後まで行くかに思われたが、ピットウォールの脳裏にはスペインGPでの逆転負けがあった。後続のメルセデスに先行の2ストッパーを許せば勝機はない…レッドブル・ホンダ陣営は一旦後退する事を覚悟でラップリーダーのフェルスタッペンを2回目ピットストップに呼んだ。

フェルスタッペンは「徐々に風も弱まり路面にラバーが載ってきたことで、レース終盤に向けて僕らのクルマに合うようなコンディションになったため、2ストップ戦略に打って出る事にした」と説明する。

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ポール・リカール・サーキットのグランドスタンドでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンの優勝を喜ぶオランダ人F1ファン、2021年6月20日F1フランスGP決勝レース

結果的にこの判断は上手くハマり、フェルスタッペンは残り2周でハミルトンを交わす事になるが、これを可能にしたのはトップスピード重視のセットアップに振った成果でもあった。

フェルスタッペンは「上手くいくかどうかは分からなかったけど、追い上げていくとルイスのタイヤが酷く摩耗している事が分かった」と続け、チームとホンダの努力を称賛した。

「DRSを使ってかなり楽に追い抜けた。トップスピードとウイングレベルのセッティングが効いた。上手くいったけど本当にタイトだった」

「今日の勝利は素晴らしいチームワークのおかげだ。この手のサーキットでダブル表彰台を獲得できたのは、現場とミルトンキーンズのファクトリー、そしてホンダの皆が懸命に努力してくれた成果だ」

「もちろん後続を大きく引き離してクルージングしながらフィニッシュしたかったけど、そんな展開がF1で起こる事はそうそうないし、今日は最後まで息が抜けない展開だった」

Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

表彰台に上がったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、2021年6月20日F1フランスGP決勝レースにて

「メルセデスとの差がタイトな状況の中で、戦略を駆使してラスト2周で逆転優勝できて本当に嬉しい」

「チームが戦略的に正しい判断を下してくれて、最終的にチェコ(ペレス)と一緒にポディウムに上がれて本当に良かった。次のオーストリアまでの数日間は、みんなでこの日の結果を楽しみたい」

レッドブル・リンクを舞台とする次戦シュタイアーマルクGPは6月25日のフリー走行1で幕を開ける。

F1フランスGP特集

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