アプグレで”明らか”に進化したアルファタウリAT03、その成果と課題…Q3進出に向け手応えを得た角田裕毅
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アルファタウリAT03はF1第12戦フランスGPで変貌を遂げた。エンジンカバーとコークボトル部分の形状は刷新され、ディフューザーとフロアエッジ、フェンスも変更された。まさに大型アップグレードと呼ぶに相応しい大改良だった。
アルファタウリは比較検証のためにFP1で2台のパッケージを分けた。ガスリーが終日を通して新パッケージを使用した一方、角田裕毅はFP1で旧スペック、FP2でアップグレード版に乗り込んだ。
ダウンフォース増も空力効率向上
アップグレードの成果は一目瞭然で、ガスリーはFP1で5番手、FP2でも7番手を刻んだ。メルセデスやマクラーレンと張り合えるような力強さを感じさせた。
ガスリーは「特に以前はタイヤが酷くオーバーヒートするなどロングコーナーで苦戦していたけど、フロントの反応がよりシャープになり反応性が向上した」と評した。
FP2で新スペックのAT03を初めて走らせた角田裕毅は、僚友からコンマ6秒落ちながらも、18番手に留まったオープニング・セッションからペースを上げて14番手でクルマを降りた。
角田裕毅は「最初のプッシュラップから明らかな違いが感じられました。その点には満足です。楽にはいかないでしょうが、今日のパフォーマンスを考えるとポジティブに捉えて良いと思います」と語り、Q3進出について「成し遂げられ得ると思います」と手応えをのぞかせた。
ダウンフォースを引き上げながらも空力効率は向上。ストレートで高いパフォーマンスを発揮する一方、コーナリング性能も改善された。
チーフ・レースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズは「期待通りに機能していたし、パフォーマンス面で上手くステップアップする事ができた」と説明した。
「ショートランのパフォーマンスに関しては明らかに一歩前進した。ここ数戦は苦戦してきたが、再びミッドフィールドで戦えるようになる事を楽しみにしている」
入賞に向けた課題は熱とタイヤ
久しぶりの予選Q3に向けて有望な兆しがある一方、ロングランに関しては取り組むべき課題がある。
ガスリーはロングコーナーにおけるタイヤのオーバーヒートを指摘し、エドルズは「ここは負荷がかかるロングコーナーが幾つかある事に加え、路面温度が非常に高かったため、タイヤ、特に左フロントが厳しかった」と説明した。
角田裕毅は「デグラデーションがさほど酷くなかった点は明るい材料ですが、レースは今日よりも更に暑くなるみたいですので、状況を見守る必要があります」と気を引き締める。
「まだ調整すべき点が幾つかありますので、FP3で微調整して予選Q3に進出できるようにしていきたいと思います」
精力的に走り込んだ事で、改善に向けたデータは出揃った。エドルズは「今日の出来には満足している。今夜もマシンの分析作業を続けていき、明日に向けて更にパフォーマンスを引き出せるかどうか確認していきたい」と語った。
2022年F1フランスGPのFP2をトップで締め括ったのはカルロス・サインツ。2番手に僚友シャルル・ルクレールが続き、フェラーリがトップ2を陣取った。3番手にはコンマ5秒遅れでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続いた。
2022年F1フランスグランプリ3回目のフリー走行は日本時間7月23日(土)20時から、公式予選は同23時から1時間に渡ってポール・リカール・サーキットで開催される。