フェラーリ「SF1000」空力面に欠陥…開発方針の大幅修正強いられる
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スクーデリア・フェラーリはシーズン開幕に先立って、2月のバルセロナテストの際に今季型マシン「SF1000」の空力面に欠陥が確認されたため、開発の方向性の転換という非常に規模の大きな修正を余儀なくされた事を明かした。
この結果マラネロは、レッドブル・ホンダやメルセデスAMGとは異なり、7月3日に初日セッションが行われる2020年シーズンの開幕F1オーストリアGPにはアップデートを持ち込む事ができず、プレシーズンテスト仕様の車体を投じる。
© Ferrari S.p.A. / ベッテルと会話するマッティア・ビノット代表
マティア・ビノット代表は初戦に向けて、シーズン前テストで露呈したペース不足の原因を究明した結果、開発の方向性の転換を強いられた事を明かし、その結果として今週末の開幕戦ではプレシーズン仕様の車体をそのまま使うと説明した。アップグレードは7月17日~19日に開催される第3戦ハンガリーGPを待つ必要がある。
「今週末はバルセロナテストの最後に使っていたのと同じ仕様で走行する予定だ」とマッティア・ビノット代表。
「パンデミックの影響に伴い、我々はFIAとの合意の下で活動を全面的に停止していた。そのためマシンの開発に取り組めたのは僅か5週間半という限られた時間であったわけだが、同一仕様を走らせるのはこれが理由ではない」
「テストの結果を受けて、空力開発の方向性を大幅に変更する事になったのが真相だ。まずはコース上で期待していたような成果が得られなかった理由について理解し、その上でプログラム全体の再調整をどの程度行うべきかを理解する必要があった」
「このまま当初の方向性で開発を進めても目標を達成する事は難しく、また望むような結果をもたらす事もない。そう判断した我々は、初戦に間に合わない可能性がある事を承知の上で、マシン全体を対象とした新しいプログラムを考え出す事にした」
「7月19日にハンガロリンクで開催される第3戦でのアップデート導入を目標にしている」
© Ferrari S.p.A. / ムジェロを走行する2018年マシン「SF71H」、開幕オーストリアGPに向けてのテストにて
「またこれとは別に、ここ数週間に渡って我々は、シミュレーターやドライバーの助けを借りてクルマの挙動を分析するために多くの労力を割いてきた。この成果はオーストリアで証明できると思う」
「現時点で我々のパッケージが最速でないことは理解している。これはメルボルンに向かう前から分かっていた事であり、それが今も変わっていないという事だ。とは言え、シュピールベルクのサーキット(レッドブル・リンク)はムンマロー(カタロニア・サーキット)とはコース特性が異なる上に、気温も2月とは異なり遥かに暑くなるはずだ」
「オーストリアGPでは、あらゆるチャンスを最大限に活用しなければならない。そしてハンガリーGPでは新しい開発を投じた上でライバル達のアップデート状況を考慮に入れ、彼らと比較して自分たちがどこにいるのかを見極める事になる」
「こうした異常とも言えるシーズンの、それも開幕前に予測を立てようとするのは、例年以上に無意味なことだと思う」
「金曜に行われる3時間のプラクティスが終わる頃には幾つかヒントが得られるだろうし、土曜の予選が終われば更に正確な情報が得られるだろう。その時になって初めて、チーム間のヒエラルキーが見えてくるが、開幕戦ではマシン信頼性やレースディスタンスにおけるタイヤパフォーマンスといった不確実性もある」
「目標? それはできるだけ多くのポイントを持ち帰ることだ」
今週末と来週末の2週に渡ってレッドブル・リンクで開催される最初の2レースでは、フェラーリが優勝争いに加わる可能性は低いと見るべきだろう。2月の時点で既にメルセデスやレッドブルのペースに遅れを取っていた上に、ライバル達は更なるスピードアップのためのアップグレードを持ち込む計画を明らかにしている。
ルイス・ハミルトンの7度目のワールドチャンピオン獲得に向けて邁進するシルバーアローは、エアロダイナミクスに大幅な開発を持ち込む見通しで、レッドブルは空力面での改善に加えて「スペック1.1」と呼ばれるホンダの改良型エンジンを搭載する。