一転して意欲示すフェルナンド・アロンソ、F1復帰の可能性や如何に
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ルノーからのF1復帰の可能性が取り沙汰されている2度のF1ワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソは5月18日(月)、F1への復帰の可能性を認めた。古巣との契約に関する憶測が出て以降、公の場でカムバックの意思を明らかにしたのはこれが初めてとみられる。
実際の映像は確認できなかったがスペインメディアの報道によると、アロンソはレアル・マドリード・ウニベルシダ・エウロペア大学の学生とのビデオ会議の中で「身体的にもモチベーション的にも今は最高レベルにいると感じているから、(今後数年の計画としては)トップカテゴリーに照準を絞っている。F1復帰あるいはFIA世界耐久選手権(WEC)、もしくはインディカー・シリーズかな」と語ったという。
必ずしも来シーズンの復帰を約束するものではないものの、2週間ほど前の発言とは異なり、世界最高峰のオープン・ホイールへと戻る可能性に言及した形だ。7月に39歳を迎えるスペイン人ドライバーは今月5日、将来のレース計画の一端を明かして、インディカー・シリーズへのフル参戦の可能性を除外し、F1復帰はありそうにないと仄めかしていた。
セバスチャン・ベッテルのフェラーリ離脱を起点として、F1のドライバーマーケットは先週、大きな動きを見せた。4度の世界王者の後任にはカルロス・サインツが、そのスペイン人ドライバーの後釜には昨季ルノーへと移籍したばかりのダニエル・リカルドが収まる形となった。
トップチームへの返り咲きを目指すルノーは、中長期的な観点からリカルドをチームの大黒柱と位置付けていただけにプランの大幅修正を余儀なくされた。エステバン・オコンは2021年末までの契約を持っているため空きがあるのは1席。候補者リストには育成傘下の若手ドライバーやニコ・ヒュルケンベルグの他に、アロンソの名が記されているのではと噂されている。
長らくアロンソのマネージャーを務め、かつてルノーF1を率いていたフラビオ・ブリアトーレは先日、伊ガゼッタ・デロ・スポルトとのインタビューの中で「フェルナンドはやる気に満ちている。F1から1年離れた事が良い影響をもたらし、彼はデトックスされた。より落ち着いているように見えるし、F1復帰の準備ができていると考えている」と述べ、憶測を更に盛り上げていた。
アロンソ周辺は復帰に前向きとのメッセージを立て続けに発し、英デイリー・テレグラフや仏オート・エブドはルノーでの復帰に向けて事前合意書にサインしたとまで伝えているが、他の関係者の間では、トップチームのシートが得られない限り復帰はあり得ないとする懐疑的な見方が多く、メディアを使った駆け引きの線も見え隠れする。
チームメイトとしてアロンソと共に仕事をした経験を持つフェリペ・マッサやジェンソン・バトン、そしてマクラーレン時代の上司であるザク・ブラウンCEOらは、中団チームはいずれもマシンの競争力が不足しており優勝争いの望みはなく、来季ルノーでの復帰の可能性について否定的な見解を示している。
いわゆる3強チームの中で2021年のシートに空きがあるのはレッドブル・ホンダとメルセデスだ。マックス・フェルスタッペンが2023年末までの契約を持っているためミルトンキーンズのチームの席は1つ、ルイス・ハミルトンは残留が濃厚とみられているため、シルバーアローの残席も1つと考えられているが、アロンソに交渉権があるかどうかは疑わしい。
フェルスタッペンを次期F1チャンピオンにプッシュするレッドブルが、3度目の栄冠を目指すアロンソとサインを交わす事は極めて考えにくく、また英BBCは、メルセデスがハミルトンのチームメイトにアロンソを充てる事はないとの内部情報を伝えており、現状ではトップチームにアロンソのためのシートは見当たらない。
F1復帰やインディカー・シリーズ参戦への言及に一貫性がないのとは対照的に、アロンソはハイパーカー規定が導入されるWECに対しては、終始ラブコールを送り続けている。