2019年F1マシンのホイールベースとレーキ角:レッドブル・ホンダRB15が最短、各車収斂

2019年F1マシンのホイールベースとレーキ角copyright Formula1 Data

ホイールベースすなわち、車を横方向から見た時の前輪中心部から後輪中心部までの長さと、レーキ角すなわち、横方向から見た時の前傾角度との間には、空力学的に密接な関係があるとされる。

ホイールベースが同一の場合、レーキ角が大きいマシンほど、車体底面と地面との間の気流が生み出すダウンフォースが大きくなる。”フロアと地面との距離”がマシン後方に向かって拡大しているために、フロア前部で大きな負圧が発生し、流速が高まるためだ。

逆に言えば、レーキ角が少ないマシンで同じ量のアンダーフロア・ダウンフォースを発生させようとする場合、ホイールベースを拡大してフロア面積を大きくする必要がある。非常に大雑把に言ってしまえば、この2つの要素は反比例の関係にある。

昨今のF1では、ライバルに対して余計なデータを掴ませないために、ホイールベースをはじめとした各マシン固有の数値は一切発表されない。とは言え、どのチームもプレシーズンテストの段階で全車のほぼ正確なデータを割り出しているとされる。マシンが低速で走行するピットレーン出口で写真を撮影。タイヤは全車共通かつサイズが明確に分かっているため、これを基準として他の部分の全ての寸法を逆算するのだという。

3強チームの一角を構成するレッドブルとメルセデスは、伝統的に真逆のアプローチを採用してきた。メルセデスはロングホイールベースの低レーキ、対してレッドブルはショートホイールベースの高レーキという様に。2019シーズンもそれは変わらないようだ。

チーム別ホイールベース

独auto motor und sportが、とあるチームから入手したとされる2019年のチーム別ホイールベース長を公開した。これによると最も長いのがメルセデス「W10」で3698mm。最も短いのがレッドブル・ホンダ「RB15」で3619mmとなっており、10台全てのマシンが3600mm台に収まっている。

メルセデスは今季新車発表の際「ホイールベースの変更はない」と明言したが、このデータが確かであれば昨年よりも短くなっている可能性がある。昨季「W09」のホイールベースは3726mmとみなされていた。対照的に、レッドブルは昨季よりも69mm程拡大したようだ。

2017年はマシンによって最大215mmもの違いがあったと推計されているが、今年は僅かに79mm。もはや、ないに等しい違い(言い過ぎ)であり、ある種の最適解に収斂しつつある証かもしれない。当時はウィリアムズが最短で3545mm、最大はメルセデスで3760mmあるとみられていた。

メルセデスとほぼ同じサイズを持つのが、アルファロメオ「C38」とトロ・ロッソ「STR14」だ。同じホンダエンジン、同じギアボックスを搭載するレッドブルとトロ・ロッソとが大きく異なるのは何故だろうか?

同チームのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコによれば、リアエンド広範を共有するという正式な決定が下されたのは昨年の夏過ぎだったとの事。その時ファエンツァでは既に、独自の設計作業が進められていた。

チーム ホイールベース(mm) 最長との差(mm)
メルセデス 3698 0
アルファロメオ 3697 1
トロ・ロッソ 3693 5
ルノー 3672 26
レーシングポイント 3664 34
フェラーリ 3653 45
マクラーレン 3648 50
ウィリアムズ 3644 54
ハース 3621 77
レッドブル 3619 79

チーム別レーキ角

ホイールベースが79mm差という範囲内に収まった一方で、レーキ角には大きな差が出ている。最小はメルセデス「W10」で1.16度、最大はルノー「R.S.19」で2.15度と、倍近くの角度差がついている。意外(?)にも、レーキコンセプトの生みの親とされるエイドリアン・ニューウェイ設計のRB15は全体の4番目であった。

チーム レーキ角(度) 最多との差(度)
ルノー 2.15 0
レーシングポイント 2.04 0.11
トロ・ロッソ 2.00 0.15
レッドブル 1.93 0.22
ウィリアムズ 1.68 0.47
マクラーレン 1.67 0.48
フェラーリ 1.64 0.51
ハース 1.59 0.56
アルファロメオ 1.52 0.63
メルセデス 1.16 0.99

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了