F1、物議アブダビGPを教訓に「仮想アンラップ」「周回遅れ自動特定通知」システム導入へ
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F1バーレーンGPの2日目を迎えた3月19日(土)に国際自動車連盟(FIA)が発表した昨年のアブダビGPに関する概要報告書から、F1が「仮想アンラップ」システムと「周回遅れ自動特定通知」システムの導入を進めている事が分かった。
マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンによるタイトル争いを決定づけたアブダビGPでの最終盤の出来事を教訓にFIAは「仮想アンラップが手順の簡素化と利点をもたらすかどうか」について調査を行う方針を示した。
アブダビでは先頭を走るハミルトンとその後ろのフェルスタッペンとの間にいた5台の周回遅れにのみ、セーフティーカーと先頭車両を追い越して隊列後方に回るよう指示が飛んだ。フェルスタッペンの後方にいたダニエル・リカルド、ランス・ストロール、ミック・シューマッハには同様の指示がなされなかった。
この指示はルールの解釈上、問題なかった。レギュレーションでは「all cars」ではなく「any cars」と記されていたため、レースディレクターが任意の台数を指定できる余地があった。だが、これが物議の元凶となった。
そこでFIAは混乱の再発防止に向け、2022年の開幕バーレーンGPを前にスポーティング・レギュレーションを改訂し「全ての周回遅れはアンラップ(先頭車両を追い抜く)する事が求められる」と変更した。つまり「any 」を「all」に書き換えたのだ。
「仮想アンラップ」の詳細についての説明はないが、”仮想”という表現から、先頭車両を追い抜いてリードラップに戻るのではなく、追い抜かずに後退してリードラップに戻った事にするといったニュアンスが感じられる。
実現のためにはタイミングシステムの改訂が必要だ。また、アンラップしなければならない車両は1周分、燃料やタイヤに関して得する事になるため、こうした不公平要素に関して何らかの解決策が求められる。
この仕組みが整えば、より迅速に隊列を整えレースを再開させる事が可能となるだろう。
また、従来は手作業で周回遅れのマシンの特定が行われていたが、手作業ではヒューマンエラーにより抜けが生じる可能性がある。
そこで、先の「all」変更に伴い全周回遅れ車両がアンラップしなければならなくなった事を踏まえて、アンラップが必要な車両を自動で特定して当該車両に通知するためのソフトウェアの開発が進められる事となった。