恐怖のグロージャン炎上事故…F1、焼け焦げ損傷したハース「VF-20」を展示
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ロマン・グロージャンが2020年のバーレーンGPで恐怖の炎上クラッシュを喫した際の事故車両、ハース「VF-20」の残骸がF1公式の展示会「The Formula 1 Exhibition」で展示されることが決まった。
3年前の11月29日、バーレーンで行われたF1世界選手権レースでグロージャンは、時速192kmという高速で3段構えの鉄製ガードレールバリアに衝突した。車体後部は引きちぎられ、闇夜のバーレーンに激しい炎が舞い上がった。
シャーシ左側の燃料タンク点検ハッチが外れ、燃料供給接続部がタンクの”安全ブラダー”から引き裂かれた結果として火災が発生した。グロージャンは28秒に渡って炎に包まれたが、奇跡的に両手の甲に火傷を負うのみで事なきを得た。
あの事故以来、事故車両は封印されてきたが、このたびスペインのマドリッドで開催されるエキシビションで「サバイバル」と題した専用の展示スペースに置かれる事となった。
またこれと合わせて、事故の未公開映像を上映する大型のビデオ・インスタレーションも設置される。
自身の命を救ってくれたかつての愛機の展示決定を受けてグロージャンは「僕にとっては酷い事故だったけど、傍から見たその衝撃や激しさについては知る由もなかった。翌日に見せてもらって初めて、どんなものだったかを知る事になった」と振り返った。
「妻や父、子ども達は一緒にあのレースを見ていた。彼らがあの瞬間を忘れることは生涯ないだろうね。単なる傍観者として、バーレーンからの知らせを待つほかになかった」
「ヘルメットでヘッドレストを殴って壊し、何とかシートから立ち上がる事ができた」
「左足がシャシーに捕らわれている事に気づいて左足を思いっきり引っ張った。靴はシャシーにハマったままだったけど、足が抜けたお陰でクルマから降りる事ができた」
「120kgの燃料とバッテリーの両方が燃えていた。イアン・ロバーツ医師とメディカルカーのアラン(ファン・デル・メルヴェ)、それに消防士の1人が、僕が外に出られるように炎を遮ろうとしてくれていた」
「おかげで僕は、少なくともどの方向に行けばよいのか、どこに出口があるのかを知ることができたと思う」
「サバイバルセルは大きな衝撃に備えるもので、その中にいた僕は無事だった。ダメージと焼け焦げた事を除けばシャシーもヘイローも無傷だった。それで命拾いしたんだろうね」
マドリードでの展示は3月24日より始まる。