F1、水飛沫の低減を目指し複数の「ウェット・ウェザー・パッケージ」をテスト

フルウェット・タイヤを履いて水煙を巻き上げるセルジオ・ペレスのレッドブルRB19、2023年6月17日F1カナダGP FP3Courtesy Of Red Bull Content Pool

国際自動車連盟(FIA)とF1はスクーデリア・フェラーリの協力を得て、雨天時にF1マシンから発生する水飛沫の低減を目的とした2種類の「ウェット・ウェザー・パッケージ(WWP)」のテストを実施した。

ウェットコンディションにおいてF1マシンが巻き上げる大量の水飛沫により、後方のドライバーの視界が悪化する問題の解決に向けて、FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)は昨年10月、これを低減するための研究開発を目的とした追加テストの実施を承認した。

伊フィオラノ・サーキットで行われた今回のテストでは、リザーブ・ドライバーのオリバー・ベアマンと、フェラーリの正規ドライバーであるシャルルの弟、アルトゥール・ルクレールが各々、2024年型「SF-24」と2022年型「SF-75」をドライブした。

2023年7月のシルバーストンに続く2回目のテストには、フロントタイヤとリアタイヤを覆う大型の試作パーツが持ち込まれた。

1種類はホイール全体を覆う形状のもので、前方のトレッド面に2箇所の隙間が設けられている。もう1種類は先の仕様のホイールの側面に6箇所の隙間を設けたもので、タイヤがすくい上げる水を側方に排出する事を意図したようなデザインとなっている。

一連の問題の根底にあるのは現行マシンの特性と幅広タイヤだ。特に現行グランドエフェクトカーは、ベンチュリー効果によりフロア下から高速かつ大量の空気が車体後方に排出されるため、その空力学的な性質上、どうしても水飛沫が多くなる。

鈴鹿サーキットで行われた2022年のF1日本GPは、雨の影響で2時間もの中断を余儀なくされ、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は水飛沫による視界不良の改善が必要だと訴えた。

FIAは2025年にWWPの導入を目指しているものの、決して見通しが立っているわけではなく、新たな技術レギュレーションの導入と合わせて2026年になる可能性を踏まえた上で、ボルトオンでのソリューションを模索している。

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