F1、ベルギーGPより予選エンジンモード禁止へ…メルセデスの反発必至か?

メルセデスAMGが2014年のF1世界選手権に投入したパワーユニット「PU106A Hybrid」の拡大写真Courtesy Of Mercedes

国際自動車連盟(FIA)は第7戦ベルギーGPより、予選エンジンモードを禁止する方向で調整を進めているようだ。統治機関はレギュレーション変更ではなく技術指令書の発行によって、予選と決勝で同一のエンジンモードを使用する事を義務付けたい考えだ。

F1のパワーユニットメーカーは、予選一発の速さを追求する1つの仕組みとして、信頼性リスクを負う代わりに強力なパワーを引き出す予選専用のエンジンマップの開発を進めてきた。これは、回生エネルギーの使用と回生のバランス配分や、燃焼室内に噴射する燃料量、点火タイミングの変更などによって実現される。

昨年はフェラーリ「064」が予選モードで約55馬力ものハイブーストを得ていたとされるが、そのトリックはシーズン終盤の技術指令書によって禁止され今や見る影もない。そのため今シーズンは、長年に渡ってこの分野で競合を先導してきたメルセデスが再びトップの座に返り咲いたものと見られている。

英Autosportが伝えたところによると、FIAモータスポーツ担当事務局長のピーター・バイエルが先日チームに宛てた書簡の中に「パワーユニットICEモード~予選・決勝間における調整範囲の縮小」なるセクションがあり、この中で予選と決勝で同じICEモードの使用を義務付ける方向性が示されたという。エアロ等のセットアップと同じように、ソフト上のセッティングもパルクフェルメの対象に組み込まれるようなイメージだろうか。

予選モード禁止の方向性を示した理由についてFIAは、既存のレギュレーションにて定められた後述2つの規制に言及した上で「使用されているモードの数が多く複雑であるため、イベントの特定の重大な局面において、FIAがPU関連のすべての規制および規定の遵守を監視することが極めて困難である」と説明した。

言及があった1つ目の規約はテクニカル・レギュレーション第2条7項で、これは(統治機関であるFIAではなく)競技参加者自身に規約の合法性の立証を義務付けるものだ。もう一つはスポーティング・レギュレーションの第27条1項で、ドライバーは他人の手助けなく自力でクルマをドライブしなさい、という、いわゆるドライバーエイドの禁止を謳う条項だ。

予選モード禁止…各陣営の反応は?

詳細は徐々に明らかにされるだろうが、メルセデスの反発は必至と言える。マックス・フェルスタッペンを始めとするレッドブル・ホンダ陣営が度々言及している通り、RB16が予選よりも決勝で高い競争力を発揮する傾向にあるのは、ライバルであるメルセデスがホンダを上回る強力な予選モードを備えているからだと考えられている。

新たな商業規定の導入を巡る交渉の最終局面に入っている事に加えて、レーシングポイント「RP20」の違法性を巡る抗争の最中であるだけに、予選モードの禁止はパドックに更なる軋轢と緊張をもたらす事になるかもしれない。

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