F1ラスベガスGP:アンダーカットは自殺行為? タイヤ戦略考とペナ適用後のグリッド、天気

光り輝くネオンの町並みを背景にラスベガス市街地コースを走行する周冠宇(ザウバー)、2024年11月22日(金) F1ラスベガスGPCourtesy Of Sauber Motorsport AG

日本時間11月24日(日)15時にスタートを迎える2024年F1第22戦ラスベガスGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動、予想されるスタートタイヤ戦略、そして気になる天気について見ていこう。

スターティンググリッド

予選19番手のバルテリ・ボッタス(ザウバー)は、今季4基目のES(バッテリー)を開封したことで5グリッド降格ペナルティを受けた。この結果、ランス・ストロール(アストンマーチン)が19番グリッドに昇格した。

フランコ・コラピント(ウィリアムズ)は現時点で14番グリッドに着く予定だが、Q2で大クラッシュにより、スペアパーツの在庫状況やエンジン、ギアボックスのダメージ次第では、パルクフェルメ規定違反によりピットレーンからスタートする可能性もある。

また、50Gの衝撃を身体に受けた関係上、レース前のメディカルチェック次第では、レースへの出走許可が下りない可能性もある。この場合、たとえクルマの修復が無事に完了したとしても、ウィリアムズは1台のみでレースに臨むことになる。規則上、代役を用意することはできない。

4度目のタイトルが懸かるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、ライバルのランド・ノリス(マクラーレン)より上位の5番グリッドに着く。ノリスが逆転タイトルの望みを繋ぐには、フェルスタッペンを3ポイント以上、上回る必要がある。

以下は暫定スターティンググリッド。正式版との差異が発生した場合は更新される。予選結果からの変動値を合わせて記す。

Pos No Driver Team Qualifying
1 63 G.ラッセル メルセデス 1(-)
2 55 C.サインツ フェラーリ 2(-)
3 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 3(-)
4 16 C.ルクレール フェラーリ 4(-)
5 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 5(-)
6 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 6(-)
7 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 7(-)
8 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 8(-)
9 27 N.ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 9(-)
10 44 L.ハミルトン メルセデス 10(-)
11 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 11(-)
12 20 K.マグヌッセン ハース・フェラーリ 12(-)
13 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 13(-)
14 43 F.コラピント ウィリアムズ・メルセデス 14(-)
15 30 L.ローソン RB ホンダRBPT 15(-)
16 11 S.ペレス レッドブル・ホンダRBPT 16(-)
17 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 17(-)
18 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 18(-)
19 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 20(+1)
20 77 V.ボッタス ザウバー・フェラーリ 19(-1)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

想定される最速タイヤ戦略

昨年はレース中盤にセーフティーカー(SC)が導入されたため、2ストッパーが主流となったが、プラクティスにおけるミディアムタイヤのパフォーマンスを考慮すると、今年は多くのドライバーが1ストップ戦略を狙う可能性が高い。

ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「理論上は1ストップが最も速い。ミディアムとハードの組み合わせが有力なのは明らかだ」と語った。

「今週末は、C3(ハード)がほとんど使用されていないが、これはチームが最もよく知るコンパウンドであり、昨年のラスベガスGPでも広く使われた」

「つまり、全てのドライバーがC3を2セット温存しているのは偶然ではない。1セットは間違いなく使用されるだろうし、もう1セットはレースがニュートラル(SCや赤旗)になった場合の予備と考えられる」

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年F1ラスベガスGPのタイヤ戦略予想図(ラスベガス市街地コース)

ピレリは、ミディアムからハードへの1ストップ戦略を推奨しており、逆の順序(ハード→ミディアム)も有効と見ている。特にグリッド後方スタートのドライバーにとっては、ハードタイヤでのスタートが戦略的選択肢となる。一方、ソフトタイヤはSCや赤旗など、特別な状況でのみ活用される可能性が高い。

アンダーカットは自殺行為か

予選後にコースが一般開放されるため、レース開始時には路面のグリップレベルが週末以前と同じ状態に逆戻りすることが予想される。また、燃料をフルに積んだ状態でのロングランは、タイヤマネジメントの難易度を一層引き上げる。

最大の課題となるのはタイヤのグレイニングだ。グレイニングは路面温度が低い際に発生しやすく、タイヤ表面が剥がれることで接地面積が減少し、グリップを著しく損なう現象だ。

「特にレース序盤では、グレイニングが影響を及ぼすだろう。路面が再びリセットされるため、この影響がさらに大きくなると予想される」とイゾラは語った。

グレイニングを防ぐためには、アウトラップを含めた最初の数周を慎重に消化することが重要だ。タイヤが適正温度に達していない状態で過度にプッシュすると、タイヤの表面が剥がれてしまい、スティント後半にグレイニングが深刻化するリスクが高まる。

そのため一般論としては、アンダーカットが自殺行為となる可能性がある。アウトラップでプッシュして先行車を戦略的に交わしたとしても、スティントの後半で思わぬ失速を余儀なくされる恐れがあるからだ。

気になる天気は…

土曜は晴天が予想されており、雨の心配はほとんどない。しかし、現地の気象台は山岳部に強風警報を発令しており、この風がレースにスパイスを加える可能性がある。

決勝スタート時刻である現地時間22時の気温は約15℃と、これまでの週末のコンディションと大きな変化はない。だが、レースが進行し、チェッカーフラッグが振られる頃にはさらに気温が低下することになる。

最大の未知数は、このような低温環境下でハードタイヤがどのように機能するかだ。

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