2025年F1バーレーンテスト《初日》総合結果:停電ハプニングを経てノリス最速、角田のレーシングブルズは堅実な滑り出し

VCARB 02をドライブするアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)、2025年2月26日(水) F1プレシーズンテスト1日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

2025年のF1公式プレシーズンテスト初日が2月26日(水)、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われ、マクラーレンMCL39を駆るランド・ノリスが1分30秒430のベンチマークを記録した。

初日は甚大なクラッシュやマシントラブルもなく、概ねクリーンなセッションとなった。しかし、現地時間午後5時頃、サーキット外部の変電所トラブルにより停電が発生。これによりセッションは赤旗中断となり、復旧までに1時間以上を要した。その影響で、午後のセッションが1時間延長された。

メルセデスのジョージ・ラッセルは、停電発生時の状況について次のように語った。

「ピットに戻ってきたら、周囲が暗くなっていて驚いた。最初は『バイザーを変えなきゃ』と思ったけど、よく見たら照明が消えていたんだ」

日が沈んだ終盤、ノリスは昨年のバーレーンGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が記録したポールタイム(1分29秒179)から1.251秒遅れとなるラップをマーク。ラッセルを0.157秒差で上回り、初日のタイムシート最上位に立った。

午前のセッションでは、メルセデスの新人アンドレア・キミ・アントネッリが1分31秒428の最速タイムを記録。合わせて78周の大量マイレージを刻んだ。レッドブルのリアム・ローソンが2番手、ウィリアムズのアレックス・アルボンが3番手につけた。

2025年F1プレシーズンテスト初日タイムシート

Pos Driver Team Time Gap Laps Tyre
1 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:30.430 0.000 52 C3
2 ジョージ・ラッセル メルセデス 1:30.587 0.157 70 C3
3 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 1:30.674 0.244 74 C3
4 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:30.878 0.448 71 C3
5 カルロス・サインツ ウィリアムズ・メルセデス 1:30.955 0.525 68 C3
6 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 1:31.353 0.923 72 C3
7 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 1:31.428 0.998 78 C3
8 リアム・ローソン レッドブル・ホンダRBPT 1:31.560 1.130 58 C3
9 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 1:31.573 1.143 63 C3
10 角田裕毅 レーシングブルズ・ホンダRBPT 1:31.610 1.180 78 C3
11 アイザック・ハジャー レーシングブルズ・ホンダRBPT 1:31.631 1.201 76 C3
12 ガブリエル・ボルトレート ザウバー・フェラーリ 1:31.690 1.260 59 C3
13 ルイス・ハミルトン フェラーリ 1:31.834 1.404 70 C3
14 ジャック・ドゥーハン アルピーヌ・ルノー 1:31.841 1.411 68 C3
15 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 1:31.874 1.444 46 C3
16 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:31.949 1.519 42 C3
17 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 1:32.084 1.654 66 C3
18 ニコ・ヒュルケンベルグ ザウバー・フェラーリ 1:32.169 1.739 55 C3
19 エステバン・オコン ハース・フェラーリ 1:33.600 3.170 88 C3
20 オリバー・ベアマン ハース・フェラーリ 1:35.522 5.092 72 C2

レーシング・ブルズ、角田とハジャーが堅実周回

レーシング・ブルズは午前のセッションを角田裕毅が担当。午前最速のアントネッリから0.182秒遅れの4番手をマークし、総合10番手で初日を終えた。

午後はアイザック・ハジャーが作業を引き継いだ。360度スピンを喫する場面もあったが、角田から0.021秒遅れの11番手でセッションを終えた。ルーキー勢としてはアントネッリに次ぐ2番手で、総合12番手をマークしたガブリエル・ボルトレート(ザウバー)も健闘した。

レーシング・ブルズはチームとして計154周を走破し、この日の最多周回数を記録したハース(160周)に次ぐ2番目のマイレージを確保。新車VCARB 02のデータ収集を順調に進めた。一方で、アストンマーチンは唯一、三桁に届かず、88周にとどまる結果となった。

ハースは他チームとは異なるプログラムに取り組んだ。その結果、エステバン・オコンは最多88周を走行したが、タイムは19番手に留まった。オリバー・ベアマンも72周を稼いだが、タイムシートは20番手最下位だった。

トップから18番手までは僅か1.739秒

午後のセッションでは、ラッセルが僚友アントネッリのタイムを上回り、その後、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がさらに更新した。だが、セッション残り50分の時点で電力供給トラブルが発生し、すべてのチームのガレージが停電。これにより約1時間の赤旗中断となった。

セッション再開後、ノリスが新たなベンチマークを刻み、ラッセルを0.157秒差で抑えてトップに立った。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は3番手につけたが、RB21の挙動にはやや不安定な部分が見られ、午前中を担当したローソンはターン2でスピンを喫する場面もあった。

今回のテストで特に注目されたのは、昨年のトップ4チーム(マクラーレン、レッドブル、フェラーリ、メルセデス)が今年も速さを示した点だ。フェラーリはルクレールが4番手につけたが、彼のベストタイムは赤旗前に記録されており、その後のコンディション変化を考慮すると実力の評価はまだ定かではない。

カルロス・サインツ(ウィリアムズ)は5番手につけ、新天地での初日を好調に終えた。ピエール・ガスリー(アルピーヌ)も6番手を記録しており、ミッドフィールド争いは昨年以上に激化しそうな雰囲気だ。

プレシーズンテスト初日は特に、新車のシステムチェックやセットアップ調整が優先されるため、ラップタイム自体に大きな意味はない。しかし、ハースの2台を除けば、トップのノリスから18番手のニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)までのタイム差はわずか1.739秒と非常に拮抗しており、今季の激しい接戦を予感させる結果となった。

2日目以降のテストでは、各チームがさらにセットアップを詰め、より正確なパフォーマンス評価が可能になるだろう。特に、ウィリアムズやアルピーヌの成長が本物かどうか、またアストン・マーティンが巻き返せるかが注目される。

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