F1アゼルバイジャン:タイヤ戦略考と気になる天気、ペナ適用後のグリッド

バクー市街地コースを周回するカルロス・サインツ(フェラーリ)を建物内から撮影した写真、2024年9月14日F1アゼルバイジャンGPCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

日本時間9月15日(日)20時にスタートを迎える2024年シーズンのF1第17戦アゼルバイジャンGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動、および予想されるタイヤ戦略、気になる天気を見ていこう。

スターティンググリッド

周冠宇(ザウバー)がパワーユニット交換に伴う最後尾スタート命令を受け、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)が燃料流量規定違反で予選失格となり、エステバン・オコン(アルピーヌ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)がパルクフェルメ規定違反でピットレーンスタートとなったため、予選結果とグリッドに相違が生じた。

ハミルトンは予選7番手であるため、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)以下のドライバーのグリッドが、それぞれ1つずつ繰り上がった。PUペナルティにもかかわらず、周冠宇は2ポジションアップの17番グリッドに並ぶ。

ポールポジションに着くのは、前戦イタリアGPに続く2連勝を狙うシャルル・ルクレール(フェラーリ)だ。隣の2番グリッドには2戦連続でオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が並ぶ。

ルクレールは4大会連続でバクーのポールを手にしているが、未だに一度も勝利を収めたことがない。

以下が正式なスターティンググリッド。ガスリーが失格する前の予選暫定結果からの変動値を合わせて記す。

Pos No Driver Team Qualifying
1 16 C.ルクレール フェラーリ 1(-)
2 81 O.ピアストリ マクラーレン・メルセデス 2(-)
3 55 C.サインツ フェラーリ 3(-)
4 11 S.ペレス レッドブル・ホンダRBPT 4(-)
5 63 G.ラッセル メルセデス 5(-)
6 1 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 6(-)
7 14 F.アロンソ アストンマーチン・メルセデス 8(+1)
8 43 F.コラピント ウィリアムズ・メルセデス 9(+1)
9 23 A.アルボン ウィリアムズ・メルセデス 10(+1)
10 50 O.ベアマン ハース・フェラーリ 11(+1)
11 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 12(+1)
12 27 N.ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 14(+2)
13 18 L.ストロール アストンマーチン・メルセデス 15(+2)
14 3 D.リカルド RB ホンダRBPT 16(+2)
15 4 L.ノリス マクラーレン・メルセデス 17(+2)
16 77 V.ボッタス ザウバー・フェラーリ 18(+2)
17 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 19(+2)
18 10 P.ガスリー アルピーヌ・ルノー 13(-5)
19 44 L.ハミルトン メルセデス 7(-12)
20 31 E.オコン アルピーヌ・ルノー 20(-)

レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。

想定されるタイヤ戦略

おそらくは例年と異なり、高圧洗浄が行われていないためだろうが、今年の路面は酷く遅く、ルクレールのポールタイムは去年より1秒以上遅かった。

とは言え、ピレリのシミュレーションによると、最速のタイヤストラテジーに変わりはなく、理論上は今年も「ミディアムとハードを使った1ストップが最速のオプションであることは間違いない」とピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは説明する。

「レース後半にセーフティーカーが出た場合にのみ、2ストップ戦略が現実的な選択肢となるだろう。多くのドライバーがレースに向けてC3タイヤを2セット温存しているのはそれが理由だと思う」

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年F1アゼルバイジャンGP決勝レースのタイヤ戦略予想図、2024年9月15日

スタートタイヤはハード、あるいはミディアムのどちらが良いのだろうか?

ハードを選んだ場合はスタート直後の数周で防戦一方となる可能性があるが、ミディアムスタート勢がピットインした時にトラックポジションを得ることできる。前戦イタリアGPではマックス・フェルスタッペンがこの戦略を取った。

ミディアムを選んだ場合はデグラデーション、特にリアのオーバーヒートに注意が必要で、路面状態が芳しくないため、場合によってはグレイニングに見舞われる可能性もある。

一発逆転を狙わなければならない16番グリッドのランド・ノリス(マクラーレン)のようなドライバーは、アグレッシブな戦略を取ってくるかもしれない。

低ダウンフォース・パッケージが持ち込まれるサーキットはDRSの効果が小さくなるため原則的にオーバーテイクが難しい。これは、DRSトレインに捕まってダーティーエアーに晒され続け、ペースが上げられない状況に陥る可能性があるということだ。

回避するには、かなり早い段階でピットストップを行って一旦、後方に下がり、クリーンエアーを存分に受けて本来のペースで走り続ける戦略が考えられる。

なお昨年は、ニック・デ・フリースがクラッシュしたことで早々にセーフティーカー(SC)が導入されたため、以下のように大部分が11周目までにピットストップを消化した。トップ10フィニッシャーは全て、ミディアム、ハードと繋ぐ1ストッパーだった。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年F1アゼルバイジャンGPのドライバー別タイヤ戦略(バクー市街地コース)

気になる天気は…

日曜のバクーは終日、晴れる見通しで、午後の降水確率は0%と、ドライレースが期待できる。スタート時刻の気温は27℃と予想されており、概ね予選と同じコンディションが見込まれる。

雨が降らないからと言って、クリーンなレースになるとは限らないのがバクーだ。過去5大会では、86%確率でSCあるいはバーチャル・セーフティーカーが導入されている。

F1アゼルバイジャンGP特集

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