活かすも殺すもマシン性能とドライバーの勇気次第…F1イギリスGPに風変わりなDRSゾーンが登場
Published:
オーバーテイク数の向上を目指すF1とFIA国際自動車連盟は、2018年F1イギリスGPの舞台シルバーストンサーキットに3箇所目のDRSゾーンを追加する。
DRSは、走行中のマシンのリアウイングの角度を可動させ空気抵抗を削減することで、トップスピードの向上を図るための仕組み。3つ目のDRS使用可能区間は最終ターン18からターン1にかけてのホームストレートに設置される。DRSの使用可否を判断する検知ポイントは、ターン16の手前83mの位置に設けられる。
マシンに備えられた可変リアウイング=DRSは、ドライバーのブレーキ操作と連動する形で閉じられる仕組みとなっている。そのため、追加されたゾーンそのものはターン1の手前までとなっているものの、ブレーキをかけずにターン1及びターン2を通過できれば、理論的にはターン3手前までDRSを使用する事ができる。
今回追加された3つ目のDRSゾーンの先は、シケインなどの低速コーナーではなく高速コーナー。昨年の予選で観測されたターン1の通過速度は8速300km/hという途方もないスピードではあるが、ノーブレーキ、あるいはスロットルを少し戻すことで通過できる可能性が残されている。
DRSを開けたままターン1を通過するためには、強力なダウンフォースを備えるマシンと勇猛果敢なドライバーの2つの要素が必要となるため、全てのチームがこれにチャレンジすることは難しい。トップスピードを大幅に妥協するセットアップにしてまでも、この新しいDRSゾーンを最大限に利用しようとするチームがあるのかどうか。興味深い。
昨年導入された新レギュレーションによってF1マシンが発生する乱気流が増加。これが一因となりコース上での追い抜きが困難となっている。F1はこの問題に対処すべく今季開幕オーストラリアGPと第7戦カナダGP、そして第9戦オーストリアGPでDRSゾーンを追加。第2戦バーレーンGPではDRS区間を延長する新たな試みを実施している。
根本的な改善は2021年以降になると見込まれているが、DRSの効果を向上させるために、来季はマシンの複雑なエアロパーツを禁止する事が決定している。