山本尚貴の2019年F1公式セッションデビューを予想する欧州メディア
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英Autosportは、山本尚貴が2019年シーズン中にF1公式セッションデビューを飾る可能性があると予想。24日、これを報じた。同誌は特に明確な根拠は示しておらず「可能性が高い」との予想を示したのみではあるが、実現する公算は強い。
山本尚貴はホンダの支援のもとでキャリアを歩み、昨年のSUPER FORMULAとSUPER GTでダブルチャンピオンを獲得。F1出走に必要となるスーパーライセンス発給要件を満たしている。
山本尚貴は2019年のトロロッソ・ホンダ入りを評価すべく、昨年のF1最終アブダビGPへと足を運んだが、シートはアレックス・アルボンとダニール・クビアトが獲得。2019年の挑戦は叶わなかったものの、山本尚貴はF1へのチャレンジを口にしており、公式テストやプラクティスセッションでのチャンスを伺い続けている。
周りもまた、山本尚貴のF1昇格を願っている。スーパーGTで相棒を務める2009年のF1ワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンは「彼はF1に足るだけの才能と経験を持ち、これに見合う結果を残している」として、チャンスを掴むべきだとアドバイス。また、ホンダの山本雅史F1マネージング・ディレクターも後押しし、トロロッソ及びレッドブルと話し合いを続けている。
レッドブルは現在、マックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリー、そしてアルボンとクビアトの4名をF1で走らせているが、これに代わってF1のステアリングを握るに足る若手が育っていない。有望視されていたダン・ティクタムは「才能なし」として年度の途中で契約を解除され、その後任としてジュニア入りしたパトリシオ・オワードは評価するには時期尚早。一人でも欠員が出れば、後任人事は難航を極めかねない。
今年デビューしたばかりのアルボンは、経験豊富なクビアトに引けを取らないパフォーマンスを見せているだけでなく、チームのスポンサー獲得にも大きく貢献。伸びしろにも期待できるため、来年もレッドブルあるいはトロロッソで走る可能性は高いが、他の3名には少なからず疑問符が残る。
フェルスタッペンには依然としてメルセデス移籍の噂があり、ガスリーは徐々にチームメイトに迫る走りを示してきているとは言え、その席は安泰とは程遠い。クビアトは依然として速さがあるものの、レッドブル上層部がタイトルを狙えるだけのトップドライバーと考えているかどうかは疑わしい。
今季残り11戦の内、シンガポール、イタリア、ハンガリー、ロシア、メキシコの5戦はスーパーフォーミュラあるいはスーパーGTと日程がバッティングしており、出走の可能性があるのはドイツ、ベルギー、日本、アメリカ、ブラジル、アブダビの6レースだ。
この内、Autosportが最も可能性が高いと考えているのがホンダのお膝元、三重県鈴鹿サーキットで開催される日本グランプリだ。山本尚貴は鈴鹿での経験が豊富であり、ホンダと鈴鹿にとってもプロモーション的に最適だというのがその理由だ。
ホンダは若手ドライバーの発掘と育成を目的に「Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト」(HFDP)を主催。2019年には、鈴鹿サーキットレーシングスクールの4輪部門のプリンシパルとして佐藤琢磨を、そしてバイス・プレジデントとして中野信治を起用し、フランス・モータースポーツ連盟と提携して相互交流を開始するなど、小林可夢偉以来となる日本人F1ドライバー誕生に力を注いでいる。
そんなHFDPは、2019年に松下信治をFIA-F2選手権に、そして角田裕毅と名取鉄平の両名をFIA-F3選手権へと送り込んでいるが、ホンダ上層部は現時点でF1に最も近いのは山本尚貴だと考えている。山本雅史F1マネージング・ディレクターはジュニアドライバー達について、Autosportに対して次のように語った。
「チャンピオンシップを勝ち取るか、もしくは、それに匹敵するような非常に良い結果を残さない限り、彼らがF1に進むことはありません。スーパーフォーミュラにも何人かのドライバーがいますが、チャンピオンシップをリードしているのは山本尚貴です」
「昔は全く普通のことでしたが、現在のF1での傾向を考えると、彼が少し年を取っているのは事実です。トレンド的に言えば年齢がネックになるかもしれませんが、我々は今シーズンの何処かのFP1で、彼を含めた誰かを走らせたいと願っています」
日本を主戦場として戦い続けてきた山本尚貴。実績豊富なベテラン・ドライバーとは言え、ヨーロッパのファンの目には無名の新人と映る事だろう。31歳の”シンデレラボーイ”なるか。