ランド・ノリス:反転攻勢の秘密「フロント殺し」の大胆変更がもたらしたフェルスタッペン猛追劇
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F1第7戦エミリア・ロマーニャGP終盤にファンを沸かせたランド・ノリス(マクラーレン)の猛追劇を可能にしたのは、「フロント殺し」の思い切ったバランス変更にあった。
ラップをリードするマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は残り20周の段階で7.5秒のギャップを築いていたが、ノリスはラスト10周で突如、ペースを引き上げ、自己ベストを更新して一気にその差を詰めていき、ファイナルラップで1秒以内にまで接近した。
終盤の逆転に向けてタイヤを温存していたのかと思いきや、そうではなかった。
イモラで使った2種類のコンパウンドの感触についてノリスは「(第1スティントの)ミディアムではマックスに遅れを取っていたし、(最終スティントに向けて)ハードタイヤに履き替えた時も、序盤はあまり良い感じじゃなかったんだ」と説明した。
「だから(チームに対して)どこで遅れているのかを尋ねたんだ。そうしたら『連中(レッドブル)の方が単にもっとプッシュしているだけ』みたいな返答があってね。でも僕としてはこれ以上プッシュできる気がしなかったんだ」
「何しろプッシュし始めるとすぐに、オーバーステアになったりアンダーステアになったり、タイヤがロックする状態だったからね。タイヤが適切なウィンドウに入っていなかったんだ」
そこでノリスはタイヤを機能させるためにクルマのバランスを大幅に変更したのだという。
「リアタイヤを守りフロントを少し殺すようにするために、ステアリングホイールのスイッチを洗いざらい変更したんだ。あの時はフロントが強すぎたんだよ」
「そうしたら5~10周後かな。クルマが生き返ってきたんだ。デフやブレーキバランスを変更することでタイヤを良い状態に戻せたおかげで、自信を持ってプッシュできるって感じる事ができて、その途端にすべてが良い方向に進み始めたんだ」
最終的にノリスはフェルスタッペンから0.725秒遅れの2位でフィニッシュした。3位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に対しては7.191秒のリードを築いたが、ラスト20周の段階では逆にルクレールに1秒以内を許し、大きなプレッシャーを受けていた。
ルクレールがアルタ・シケイン(ターン14・15)でミスをした事で余裕ができ、それによって反転攻勢に向けて気持ちを切り替える事ができたのだとノリスは語る。
「何しろタイミンウが良かったんだよ。シャルルが僕の背後にいた時、僕はそれ以上、何もできない状態だった。もしあの時にプッシュしていたらミスをしてコースアウトしていただろうね。難しい状況だった」
「でもシャルルがミスをしたから僕も少し余裕ができて、もう少しプッシュしてみようって思ってね。そしたらペースが戻ってきたんだ」
レース最終盤に向けてフェルスタッペンの背中を捉えると、今度は別の問題が発生した。RB20が発生させるダーティーエアーに対処すべく、ノリスは再びドライビングスタイルを変えた。
「2秒以内に入った途端に今度はダウンフォースとグリップが失われてしまい、タイヤが再びオーバーヒートし始めたんだ。ラスト2・3周は苦しかったけど、どう走れば良いかが分かった後は何とか上手くやる事ができた」
「もうあと1周あれば、少なくとも彼(フェルスタッペン)はターン1で守らなきゃならない状況になっただろうし、そこで何かが起きたかもしれないけど、1周足らなかった。残念だけどしょうがない。レースの序盤にあまりにも苦戦し過ぎたしね」
2024年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP決勝レースでは、ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が0.725秒という僅かの差でランド・ノリス(マクラーレン)を振り切り今季5勝目を上げた。
モンテカルロ市街地コースを舞台とする次戦モナコGPは5月24日のフリー走行1で幕を開ける。