対応に追われるF1、バーニー・エクレストン「弾丸だって受ける」プーチン大統領支持および人種差別発言のピケ擁護で物議

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表の妻ジェリ・ハリウェルとバーニー・エクレストン、2011年F1モナコGPにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1のかつてのトップ、バーニー・エクレストンがロシアのウラジーミル・プーチン大統領を支持する発言をし、更にルイス・ハミルトン(メルセデス)はネルソン・ピケによる人種差別的発言を受け流すべきだったと示唆した事を受けF1は、今のF1とは全く相容れない価値観だとの声明を出した。

エクレストンはF1第10戦イギリスGPの開幕を翌日に控えた6月30日(木)、イギリスのテレビネットワーク「ITV」の情報番組「Good Morning Britain」にイビサ島からリモート出演した際、プーチンを「分別がある」「一流の人物」と呼び、「彼のためなら今でも弾丸だって受ける」と述べた。

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バーニー・エクレストンとファビアナ・フロシ、2014年F1オーストリアGPにて

また、ロシアによるウクライナ侵攻によって市民を含む罪のない何千人もの人々の命が奪われている事を指摘されると「それは意図的なものではない」と述べ、侵略を回避できなかった責任はウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領にあると主張した。

加えてゼレンスキー大統領が元コメディアンであることについて「まるで、その職業を続けたいかのようだ」と述べ、更には「私は民主主義を支持していない。独裁者が必要だ」と付け加えた。

自身がオーナーを務めていたF1チーム、ブラバムで7シーズンに渡ってドライブした3度のF1チャンピオン、ピケがハミルトンに対して人種差別用語を口にした騒動に関する質問もあった。

ピケは昨年末、ポルトガル語でのインタビューでハミルトンを名前で呼ばず、人種差別的言葉を使った。F1や国際自動車連盟(FIA)、所属先のメルセデスを含む複数のF1チームやドライバーが人種差別に対する断固とした姿勢を表明するなど、一件は非難の的となり、ハミルトン本人も「旧態依然とした考え方だ」と批判した。

ピケは後に謝罪はしたが、人種差別を認める事はなく、F1はピケをパドックから追放する意向だとみられている。

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ネルソン・ピケ、2018年6月18日F1オーストリアGPにて

91歳のイギリス人実業家は「彼の発言は多くの場合、我々を怒らせたり不快感を与えたりするかもしれないが、彼にとっては単なる会話の一部に過ぎない」「何か悪い事が起きるわけでもないだろう」として、ハミルトンがこれを「受け流さなかった事に驚いた」と述べ、ピケを擁護する立場を示した。

番組の放映を受けF1の広報担当者は「バーニー・エクレストンのコメントは彼の個人的な見解であり、現代的価値観を持つ我々のスポーツの立場とは全く以て対照的だ」と述べた。

長年に渡ってF1を牛耳ってきたエクレストンは、リバティ・メディアによる商標権取得と共に2017年シーズンを前にCEOの座を追われており今はF1と何らの関係もないものの、依然としてその発言力は大きく、F1は対応を余儀なくされた形だ。

F1イギリスGP特集

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