ホンダF1エンジンは未だ60馬力劣っている、と元F1ドライバー「マクラーレン時代のトラウマが一因」
Published:
元F1ドライバーのロバート・ドーンボスは、ホンダ製F1パワーユニットは未だメルセデスに60馬力劣っていると考えている。マックス・フェルスタッペンと同じオランダ出身の37歳は、2006年にレッドブルからF1に参戦。今もなおチーム内に情報提供者を持っているとして、具体的な数値を挙げた。
23日に行われたF1第8戦フランスGPを4位で終えたフェルスタッペンは、レッドブルの車体とホンダのエンジンパワーの双方で改善が必要だと訴え、いつもとは少し違う顔つきを見せた。ドーンボスは現在、オランダのケーブル事業最大手Ziggo Sportで解説者を務めており、決勝レース後のスタジオでフェルスタッペンのドライビングを評価した一方、チーム側の一層の努力を促した。
「コメントを聞く限り、彼は今も非常にリラックスしているように見えるし、自分の仕事をこなしている」とドーンボス。
「だが、レッドブルもホンダもポンコツだ。彼らはまだ60馬力劣っている。私にはまだあちらこちらに情報源を持っている。確かな情報だ」
「奇妙な事に、この数字は悪い時のルノーとほぼ同じだ。ホンダは正しいレベルに到達するためにもう少し努力する必要があるし、レッドブルもシャシーを改善させなければならない」
ホンダはポール・リカール・サーキットに、性能面の向上に焦点を当てたアップグレード版スペック3エンジンを投入。ホンダジェットのノウハウを投じて効率を向上させたターボチャージャーに注目が集まった。
ドーンボスの言う「60馬力」がスペック3の事を指し示しているのかは不明だが、レース後の発言である事を踏まえると、旧型に対する言及とは考えにくい。
レッドブルRB15はポール・リカールで、低速コーナーではフェラーリと同等のパフォーマンスを発揮するも、中高速ではトップにコンマ1秒近く引き離され、ストレートではコンマ2・3秒近くをロス。同じパワーユニットを搭載するトロロッソよりトップスピードが伸びていなかった。
ドーンボスは、ホンダPUの向上幅が小さいのは開発への慎重なスタンスの現れだと指摘するが、ホンダは信頼性に深刻な欠陥がないにもかかわらず、8戦目にして3世代目のアップグレードを投入。開発の成果を精力的に実戦投入しており、レッドブル勢の内燃エンジンは既にレギュレーションで許可された3基に到達している。
「今のF1エンジンは技術的に非常に複雑で、完璧なバランスを見出すのは難しい」とドーンボス。「通常パフォーマンスを追求すると信頼性が低下する事になる。ホンダはマクラーレン時代に(信頼性不足によって)酷くブランドに傷がついたため、敢えて限界までプッシュしていない。だがこの状況下では、自らを窮地に追い込まねばならない」
メルセデスとホンダ双方が公式に公表していない以上、「60馬力」という数字にどれほどの信憑性があるのかは不明だ。ドーンボス絡みでの直近のリーク情報としては、ダニール・クビアトのF1復帰話がある。公式発表前、ドーンボスは当時のフェラーリ開発ドライバーが、2019年に古巣で復帰する事を公にしていた。