離れ業ピットストップ!レッドブルF1、視界ゼロの暗闇で全4輪を僅か2.84秒で交換
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レッドブル・レーシングが史上初めて、視界ゼロの完全な暗闇の中でピットストップ作業を、それも僅か2.84秒で行うという離れ業をやってのけた。
クルマを一切、視認できない漆黒の状況で22名のクルーの拠り所となったのは己の直感と肉体の記憶、触覚、そして6シーズン連続でDHLファステスト・ピットストップ賞を受賞したチームワークだけだった。
前代未聞の挑戦に向けてクルーは英国ミルトンキーンズのファクトリーで事前練習に取り組んだ。ただし3回のみ。黒く塗られたバイザーにより前は見えない状態ながらも、照明が明るく照らす室内で行われた。
その後、完全な暗闇に放り込まれ、クルーの視界は完全に遮断された。クルマをジャッキアップするためのジャッキマン2名と、コックピットに座るドライバー役のクルーだけは、軍の専門家の指導の下、暗視ゴーグルを装着した。
27台の暗視カメラの前で4時間に渡って行われたチャレンジは10回。不可能と思われたこの課題をレッドブルのクルー達は見事に成し遂げた。
最初のピットストップ作業には8.84秒を要したが、4回目までに4.93秒に短縮。休憩を挟みながらトライを続け、最終的には目標の3秒を下回る2.84秒を記録した。これは2019年のブラジルGPでレッドブルが記録した当時の世界記録の僅か1秒遅れだった。
撮影には赤外線照明技術者や暗視技術の専門家の協力を得た。また、赤外線と通常のフィルムの両方で記録できるよう特別な撮影機材を開発するなど、手間とこだわりの詰まったレッドブルらしいチャレンジとなった。