2度の赤旗、”予想された”事故…ジェッダ市街地コース、来季F1サウジ開催までにレイアウト変更を求める声

クレーンで吊り下げられるクラッシュしたミック・シューマッハのハースVF-21、2021年12月5日F1サウジアラビアGP決勝レースにてCourtesy Of Haas

連なる高速のブラインドコーナー、広大なシケインの先に続くタイトなストレート。グランプリ初開催を迎えたジェッダ市街地コースでの週末を終え、来年3月27日の2回目のF1サウジアラビアGPに向けてレイアウト変更を求める声が上がった。

50周のレースではクラッシュを理由に5名がリタイヤを余儀なくされた。また、日曜の夜に行われたFIA-F2選手権のレースでは、2度のF1ワールドチャンピオンに輝いたエマーソン・フィッティパルディの孫エンツォとテオ・プルシェールが病院に搬送される大きな事故があった

幸いにもプルシェールに怪我はなく、フィッティパルディはかかとの骨折で事なきを得た。サーカス全員が3日間を生き延びて最終戦の地、アブダビへと向かった。何よりだった。

危険を指摘する声は週末の前段階から既に上がっていたが、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)は実際にコースを経験した上でそれを更に確信した。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)とのクラッシュによって自身がリタイヤを強いられる事になる決勝を前に、キャリア10年を誇るベテランは「すごく良いサーキットだ」とする一方「本当に危険だ」と指摘していた。

「確かにストレートが多いけど、同時にコーナーも多い。ブラインドコーナーなんだ。明日のレースで何も起こらない事を願うよ。さした理由もなく余りに危険な気がする」

ペレスはジェッダ市街地コースのレイアウトを「意味もなく危険」と表現し、他のドライバーたちと「最優先事項は安全」であるべきとの考えを共有していると説明した。

悪い予感は的中した。日曜のレースでのリスタート直後にペレスは、ルクレールのフロント右翼端板と接触。連鎖的にジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)が回避行動に出て、その後方を走っていたニキータ・マゼピン(ハース)がこれに突っ込んだ。この混乱を乗り越え最後まで走りきったのはルクレールのみだった。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

セルジオ・ペレスとシャルル・ルクレール、ジョージ・ラッセルとニキータ・マゼピンの多重クラッシュの様子、2021年12月5日F1サウジアラビアGP決勝レースにて

ラッセルはこの事故について予想された事態だったと強調した。

「避けようがなかったように思う。ターン2はかなり広大かつオープンでクルマが横並びで走れるようになっているのに、その後は1カ所に集まるように狭まっていくかなりの高速セクションなんだから」

ラッセルもまたペレスと同じ様に「走っていて凄く爽快でエキサイティング」だとする反面「安全面やレースという観点から言えば不足しているものが多い」と苦言を呈した。

「本来なら起こるべきではない事故が起きるのを待つようなものだ。多くのコーナーは僅かに曲がるだけなのにブラインドなんだから。F1マシンにとってはコーナーですらないんだ。不必要な危険を作り出しているだけだ」

ラッセルは現地プロモーターには潤沢なリソースがあると指摘した上で、「ターン2~4、ターン17~22といった全く必要ない僅かなコーナーの全てをストレートにしてしまえば良い」と述べ、改善に向けて具体的な提言を行った。

ラッセルが言及したターン22は週末を通して何度も事故が発生した。プラクティスではルクレールが事故に、決勝レースではミック・シューマッハ(ハース)が単独で壁に激突した。ランド・ノリス(マクラーレン)も当該コーナーの変更を進言した。

失意のレースを終えてペレスは、コースレイアウトの調整のために「喜んで話し合う」用意があると主張した。

「みんなの意見を検討したり、何が変更できて何が変えられないのかを見極めるのはFIAの責任だ。深刻な問題が起きなくて本当に安堵したよ。優先されるべきは安全だ」

F1サウジアラビアGP特集

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