舞台裏で何が?リカルドを選んだマクラーレン、ベッテルのF1引退を予想するブラウンCEO
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マクラーレンのザク・ブラウンCEOはダニエル・リカルド獲得発表に至る舞台裏の一端について明かすと共に、スクーデリア・フェラーリのシートを失ったセバスチャン・ベッテルについて、無期限にしろ一時的にしろ今シーズン末を以てF1を引退する事になるだろうと予想した。
ブラウンCEOはSky F1に出演し「セブ(ベッテル)にメルセデスやレッドブルへの移籍のチャンスがあるようには見えない。それにマクラーレンも、そしてフェラーリに関しては明らかにノーチャンスだから、現時点でベストなのはルノーだ」と語り、次のように続けた。
「だが、ルノーはおそらく2021年シーズン中に勝てないだろう。そんなチームにセブが加わりたいと思うだろうか?(ルノーは)素晴らしいチームだし、彼らもグリッドを上げているはずだが、セブが今より後退したチームで旅を再開したいと思わない限り、そうなる事はないだろう」
「残念ながら、私は彼がこのスポーツを離れることになると思う」
© Pirelli & C. S.p.A. / 赤いニット帽を被るフェラーリのベッテル、2020年F1バルセロナテスト3日目
突如として勃発した2021年に向けての移籍騒動のトリガーを引いたのは、他ならぬベッテルだった。ベッテルはマラネッロからのオファーを退け、フェラーリが5月12日(火)、シャルル・ルクレールの隣のシートが未定となった事を発表すると、その後任にカルロス・サインツが収まるとの見方が相次いだ。
フェラーリは翌々日にサインツとの2年契約を発表し、マクラーレンはリカルドとの複数年契約を明らかにしたが、当初ベッテルにはマクラーレンとルノーからのオファーがあるとも報じられていた。だが実際には、少なくともマクラーレン側との交渉は行われなかったようだ。
ブラウンCEOは、ベッテルが素晴らしいドライバーである事は疑いない事実だと前置きした上で「オフシーズン中、我々はその選択肢とは程遠い場所にいた。ダニエルかカルロスのどちらかに着地することは分かっていた」と述べ、4度のF1ワールドチャンピオンが2021年の選択肢に上がる事はなかったと明かした。
マクラーレンはレッドブル・レーシング在籍時からリカルドに目をつけており、リカルド獲得はウォーキングのチームにとって積年の願いだった。
「数年前にダニエルを狙っていた時は惜しくも逃してしまった。我々は以前からダニエルのファンだった。彼がレッドブルからルノーへと移籍した事で、我々はカルロスとランド(ノリス)を起用した」とブラウンCEOは振り返った。
© Getty Images / Red Bull Content Pool、レッドブル時代のリカルド、2018年のF1モナコGPにて
サインツの跳馬入りのニュースは驚きを以て受け止められたが、ブラウンCEOにとってはそうではなかった。マクラーレンはサインツがフェラーリに移籍する可能性を早い段階から把握していた。スペイン人ドライバーは、チーム代表のアンドレアス・ザイドルとブラウンCEOから、フェラーリとの交渉許可を得ていた。
米国出身の元レーシングドライバーは「私は、予想外の事態の発生以外に何も期待してはいけない事をF1で学んだ。我々には良識があった。カルロスとはオフシーズン中に将来の事についての話し合いを始めた。彼がマクラーレンとフェラーリのどちらでドライブしたいか等についてね」と説明した。
「カルロス自身、そして彼のマネジメントや彼の父親とは、本当にオープンな関係を築いてきた。ダニエル起用およびカルロス放出の発表がどれだけ早かったかを考えれば、これは驚く事ではない。プロセス全体を通して、我々は互いに協力的に話し合いを進めてきた」