ルイス・ハミルトンの「予想外」の最前列をもたらした予選開始10分前のセットアップ変更
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4度の赤旗を経て決したF1アゼルバイジャンGPのフロントローは、ポールポジションにシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2番手にルイス・ハミルトン(メルセデス)と、意外な顔ぶれが並ぶ事となった。
初日2回目のフリー走行を11番手で終えたハミルトンにとって、バクー市街地コースでの2番グリッドは本人をして予想外の結果で、トラックサイドエンジニアリング部門を率いるアンドリュー・ショブリンもまた「全く予想していなかった」と本音をもらした。
土壇場での逆転セットアップ変更
ハミルトンは初日を終えて、チームと共に深夜23時まで解決策を模索し続けたものの、それでも問題解決には至らなかった。Q3進出すら危ぶまれていた中での奇跡的カムバックを可能にしたのは、予選開始10分前という土壇場まで行われたセットアップ変更にあったという。
「こんな事になるとは思ってもみなかったよ。今週末は信じられないほど苦労していたから、記念碑的な結果だね」とハミルトン。
「僕らは冷静さを保ち、水面下で難しい議論を続け、お互いに挑戦し続けて、決してNOという答えを出さなかった」
「昨夜の間に幾つか変更を施したけど、今日に向けて問題を解決する事は出来なかった。FP3でも依然として大惨事だったんだ」
「でもセッションの最後に幾つかの発見があって、その方向で進めてみたらそれが功を奏したんだ」
「つまり、幾つか通常とは異なる方法を試して最終的にセットアップを調整したところ、少しポテンシャルを開放する事ができた。文字通りの昼夜逆転、クルマが一変したんだ」
メルセデスは予選に向け、ハミルトンとバルテリ・ボッタスでセットアップを分けた。ボッタスはハイダウンフォース仕様のリアウイングを、そしてハミルトンは空気抵抗が少ないスペックを選択した。
そもそもハミルトンは週末を通して頭を抱えながらも、マシンバランスには満足していた。足りていなかったのはバランスではなくグリップだった。
土壇場でのセットアップ変更によって一体何が変わったのか? チーム代表のトト・ウォルフは明言を避け、ハミルトンは「タイヤが上手く機能するようになった。それだけだよ」とだけ説明した。
「ライバル達ほどではないけど、突如タイヤが機能し始めた事でゲームに戻って来る事ができた。だから後はラップをまとめ上げさえすれば良かった」
トウなく沈んだボッタス
ハミルトンがチームメイトのトウを得て逆転ホームランを放った一方、ボッタスはスリップストリームの恩恵を受けられず10番手に終わった。ボッタスはQ3の最終アタックでルクレールのトウを得る算段であったが、角田裕毅の赤旗によって叶わなかった。
メルセデスは各々のドライバーが週末ごとに相互に予選出走順を決めるルールを採用しており、トト・ウォルフによると今回はハミルトンに優先権があったとのことで、チームのボスは「不運だった」と述べ、トウが得られなかったボッタスを擁護した。
予選を終えたボッタスは、週末を通して悪い意味でペースが一貫していることに触れて「究極的に何がか間違っている気がしている。というのも、限界まで攻めるとペースが上がらず、更にプッシュしようとすると壁にぶつかってしまうような状況だったからね」と嘆いた。
その一方で決勝レースに向けては、かつて1ラップダウンという状況から上位フィニッシュした過去の思い出に触れて「何が起こるか分からない」として、巻き返しに意欲を示した。
ハミルトンは6日の決勝レースをルクレールと並んでフロントローからスタートする。チャンピオンシップを争うマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は背後の3番手だ。
初日プラクティスのデータにおいては両者のレースペースはほぼ互角で、決勝は熾烈な争いが予想されるところだが、ハミルトンが選んだローダウンフォース仕様のウイングが吉と出るか凶と出るか興味深いところだ。
計4度の赤旗による混沌のグリッド争いでは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。ルイス・ハミルトン(メルセデス)が2番手、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が3番手という結果となった。
2021年 F1アゼルバイジャングランプリ決勝レースは、日本時間6月6日(日)21時にスタート。1周6003mのバクー市街地コースを51周する事でチャンピオンシップを争う。