F1オーストリアGP予選 最高速:際立つフェラーリの遅さ…気になるホンダエンジン勢は?
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2020年シーズンの開幕戦、FIA F1世界選手権オーストリアGP公式予選におけるドライバー別スピードトラップを集計した。スターティング・グリッド争いではバルテリ・ボッタス(メルセデス)が通算12回目のポールポジションを獲得した。
レッドブル・リンクはコーナー数がカレンダー最小の10箇所のみで、エンジン全開率は72%程度とモンツァに次いで高く、平均速度は時速224kmに達する高速サーキットとして知られる。スピードトラップは坂を登りきった先、下り坂の先にあるターン4の手前170m地点で計測される。
スピードトラップ
トップスピードはエンジン出力やスリップストリームの有無の他、計測地点前のコーナーの種類やトラクション性能、ダウンフォースレベルや車体の空気抵抗といった様々な変数が影響する計測データだ。
さて、シーズン一発目の予選スピードトラップで最高速を刻んだのは2番グリッドのルイス・ハミルトンで、時速322.5kmであった。2位にはポールシッターのボッタスが続き、ここでも”ブラック・アロー”が1-2体制を築いた。3位は同じくメルセデス製PUを積むセルジオ・ペレスだった。
Pos | Driver | Team | km/h |
---|---|---|---|
1 | ハミルトン | メルセデス | 322.5 |
2 | ボッタス | メルセデス | 321.6 |
3 | ペレス | レーシングポイント | 321.2 |
4 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 320.4 |
5 | ノリス | マクラーレン | 320.1 |
6 | ライコネン | アルファロメオ | 320 |
7 | ストロール | レーシングポイント | 319.7 |
8 | アルボン | レッドブル | 319.1 |
9 | リカルド | ルノー | 319 |
10 | グロージャン | ハース | 318.3 |
11 | ラッセル | ウィリアムズ | 318.3 |
12 | サインツ | マクラーレン | 318 |
13 | クビアト | アルファタウリ | 317.7 |
14 | フェルスタッペン | レッドブル | 316.8 |
15 | ガスリー | アルファタウリ | 316.8 |
16 | オコン | ルノー | 315.3 |
17 | マグヌッセン | ハース | 314.8 |
18 | ベッテル | フェラーリ | 313.2 |
19 | ラティフィ | ウィリアムズ | 313 |
20 | ルクレール | フェラーリ | 312.4 |
気になるホンダエンジン勢は?
ホンダエンジン勢の最上位はレッドブルのアレックス・アルボンで、最速のハミルトンから3.4km/h遅れの6番手。同じRB16を駆るマックス・フェルスタッペンはアルファタウリの2台に挟まれる14番手だった。
おそらくRB16はライバルと比較して、より高いダウンフォースが得られているのだろう。アルボンは高速コーナーに囲まれたターン7手前で計測されるインターミディエイト2地点において、全20台の中で最も速い時速255kmを記録。フェルスタッペンも5番手に並んでいる。
レッドブル・リンクでのスピードトラップとラップタイムに相関関係はないが、インターミディエイト2地点での計測速度順とラップタイムには程度の差こそあれ、関係が認められる。
一際目立つフェラーリの遅さ
「赤き弾丸」とすら称され、昨シーズンを通して如何なるコースであれ上位に顔を並べていたフェラーリ勢は、セバスチャン・ベッテルが18番手、シャルル・ルクレールが20番手と全20台の中で最も遅かった。昨年のグランプリでスピードトラップ最速を刻んだのがルクレール(325.7km)であるだけに、その遅さは際立って見える。
疑惑の燃料流用トリックが塞がれた事が原因か、はたまた初日を終えたベッテルが「ライバルに比べてダウンフォースもグリップも不足」「あまりにドラッギー(空気抵抗が大きい)」と述べていた様に車体側の問題なのか、それともその両方なのか。
ヒントの1つは、ターン1を抜けた上り坂のロングストレートの終端、ターン3手前170m地点で計測されるインターミディエイト1地点の計測速度に隠れている。
以下のようにこの地点では、同一スペックのフェラーリ製PUを積むアルファロメオのアントニオ・ジョビナッツィが325.3kmで最速を刻んだ一方で、跳馬の2台は仲良く最下位に並んでいる。
Pos | Driver | Team | km/h |
---|---|---|---|
1 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 325.3 |
2 | ハミルトン | メルセデス | 323.4 |
3 | ライコネン | アルファロメオ | 323.4 |
4 | ボッタス | メルセデス | 323 |
5 | ペレス | レーシングポイント | 323 |
6 | ノリス | マクラーレン | 322.8 |
7 | リカルド | ルノー | 322.4 |
8 | ラッセル | ウィリアムズ | 322.2 |
9 | グロージャン | ハース | 321.8 |
10 | ストロール | レーシングポイント | 321.2 |
11 | アルボン | レッドブル | 320.8 |
12 | マグヌッセン | ハース | 320.2 |
13 | サインツ | マクラーレン | 319.9 |
14 | クビアト | アルファタウリ | 319.2 |
15 | ガスリー | アルファタウリ | 318.9 |
16 | フェルスタッペン | レッドブル | 318.7 |
17 | オコン | ルノー | 318.4 |
18 | ラティフィ | ウィリアムズ | 317.2 |
19 | ベッテル | フェラーリ | 314.1 |
20 | ルクレール | フェラーリ | 314 |
フェラーリの予選リザルトが奮わなかった主要原因の1つに、SF1000が抱える深刻なエアロダイナミクスの問題があることは間違いないと見られるが、今季のフェラーリ製V6ハイブリッド・ターボも原因の1つだろう。
ハースとアルファロメオを含むフェラーリPU勢は、12ヶ月前の昨年のオーストリアGPと比較して全車が0.6〜1.1秒もラップタイムを落としている。