アレックス・アルボンが一見不可解なクラッシュを喫した理由
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最終盤の大混乱の印象があまりに強烈で忘れがちになってしまうが、最終的に3回(レース後を含めると4回)振られた赤旗の最初のインシデントは、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)の些か奇妙なクラッシュによりもたらされたものだった。
第2セクターの始まりであるターン6にアプローチしたアルボンは、コーナーへの進入の際にリアを失い、グラベルを乗り越えてウォールと衝突した。
衝突によってウィリアムズFW45はコース方向に弾き返され、後方から事故現場に到達したニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は恐怖に冷や汗をかいた。あわや接触かという際どいシーンだった。
怪我もなく無事にパドックに戻ってきたアルボンは「まだデータを確認している最中だけど、コーナー自体には何も異常はなかった。コントールを失ったラップでは、前の周よりも低い速度でコーナーに入っていったんだ」と振り返った。
「前のコーナーでワイドになってタイヤの温度が急上昇してグリップが失われていたから、それが原因じゃないかと思うけど、確認してみる必要がある」
車両パフォーマンス部門を率いるデイブ・ロブソンは「高速のターン5で縁石に接触して僅かに衝撃があり、タイヤの温度が急上昇したため、次のコーナーでコントールが失われてしまった」と述べ、アルボンの見解が正しいと認めた。
インシデント前は夢のような6番手を走行していた。アルボンは「今週末はポイント獲得の良いチャンスがあったのに、アクシデントのせいでポイントを持ち帰れず、チームには本当に申し訳ない気持ちだ」と語る。
「今日もクルマは最高に調子が良くて本当に力強かっただけに残念だよ」
チームメイトのローガン・サージェントもチェッカーを受けずにレースを終えた。ラスト2周の再スタート時にニック・デ・フリース(アルファタウリ)と接触した事でクルマを降りた。
サージェントはミディアムタイヤには苦戦したものの、ハードタイヤに履き替えて以降はペースも悪くなかっただけに、リタイヤに終わって「残念だ」と振り返った。
4月2日(日)にアルバート・パーク・サーキットで行われた2023年F1第3戦オーストラリアGP決勝レースでは3回に渡って赤旗が振られ8台がリタイヤするという大混乱のレースとなり、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾る結果となった。
バクー市街地コースを舞台とする次戦アゼルバイジャンGPは4月28日のフリー走行1で幕を開ける。