アンドレッティ、2026年新規定主導のF1元CTOパット・シモンズを起用…参戦に向け更なる一手

ウィリアムズF1チームの最高技術責任者を務めるパット・シモンズ、2014年6月24日creativeCommons Formulastudent Imeche

7年間に渡ってF1の最高技術責任者(CTO)を務めたベテラン・エンジニアのパット・シモンズのアンドレッティ・キャデラックへの加入が、F1第8戦モナコGPを週末に控えた2024年5月21日(火)、発表された。

かつてルノーやウィリアムズで技術チームを率いた70歳のイギリス人エンジニアはガーデニング休暇を経て、F1参戦を目指すアンドレッティのエグゼクティブ・エンジニアリング・コンサルタントに就任する。

シモンズの起用についてアンドレッティ・グローバル率いるマイケル・アンドレッティは「パットをアンドレッティ・ファミリーに迎えることができ、これ以上ないほど嬉しく思う」と語った。

「空力学、車両力学、F1パワーユニットに関するパットの知識は、我々が競争力あるチームを作り上げていく上で役立つだろう。彼の専門知識はF1の物語を形作る上で非常に重要であり、彼が我々のプロジェクトに信任を投じてくれた事には大きな意味がある」

また、ベネトンやルノー時代にシモンズと同僚であったアンドレッティ・キャデラックのテクニカル・ディレクターを務めるニック・チェスターは「光栄な事に私は過去にパットと仕事をする事ができた。技術分野およびチーム運営に関する彼の豊富な専門知識は、チームの発展を促すだろう」と語った。

シモンズは2017年にF1のCTOに就任すると、元マネージング・ディレクターのロス・ブラウンと共に、2022年に導入されたグランドエフェクトカー規定の策定において重要な役割を果たした人物だ。

また近年は、F1の統括団体である国際自動車連盟(FIA)と協力して2026年に導入される新たな技術レギュレーションの策定においても主導的な役割を果たしてきた。規定は今年6月に発表される予定で、一連の作業が完了した事からシモンズはF1を去る決断を下した。

シモンズの起用はアンドレッティにとって、F1参戦に向けた更なる一手と言える。

アンドレッティはGM傘下のキャデラックとの提携を経て昨年10月、FIAから承認を得たものの、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)は今年1月、チームの競争力を疑問視し、またF1に付加価値をもたらすとは思えない等として、これを却下した。

計画が宙に浮いたにも関わらず、アンドレッティはF1プロジェクトに関わる従業員の雇用を更に進めており、今年4月にはイギリスのシルバーストンに新たなファクトリー完成させ、F1が「ノーと言えなくなる」まで外堀を埋め続ける意向を示している。

シモンズは1981年にトールマンでF1キャリアをスタートさせると、ベネトン、ルノーで手腕を振るい、1994年と1995年にはミハエル・シューマッハと、2005年と2006年にはフェルナンド・アロンソと共に世界タイトルを獲得した。

2008年のシンガポールGPで発生した悪名高きクラッシュゲートへの関与により、当時のルノーF1チーム代表フラビオ・ブリアトーレと共に時限付きの追放処分を受けた後、ヴァージンのコンサルタントとしてF1に復帰。ウィリアムズのCTOを経てF1のCTOに就任した。

F1モナコGP特集

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