チーム買収によるF1参戦を”積極的”に目指す米強豪アンドレッティ…ターゲットは3チームか

左からマイケル・アンドレッティ、マリオ・アンドレッティ、マルコ・アンドレッティCourtesy Of Indycar

アメリカンモータースポーツの雄、アンドレッティ・オートスポーツ率いる元F1ドライバーのマイケル・アンドレッティがチーム買収によるF1参戦を検討しているようだ。アンドレッティはインディカーやエクストリームE、フォーミュラE等、多数のフィールドで活動を展開している米国屈指の強豪チームだ。

RACERによると1993年のマクラーレンF1ドライバーは、ヨーロッパを中心に世界を転戦するフォーミュラ1への参戦を目標に、ハースF1のジーン・ハースを含む複数のチーム代表者達と会談の場を持ったという。

アンドレッティが目をつけたのはハースだけではない。伝えられるところによるとそのターゲットには、アルファロメオを名乗るザウバー・モータースポーツと英国グローブに本拠を構える老舗ウィリアムズが含まれており、買収に向けた取り組みを「積極的」に進めているという。

1991年のCARTチャンピオンは同誌に対して、まだ契約に至るような段階ではなく「実現までの道のりは長い 」としながらも「適切な機会があれば全力を尽くす」と語った。

マイケル・アンドレッティは今年3月、アンドレッティ・アクイジション・コーポレーションという社名の特別買収目的会社(SPAC)を設立した。マイケルの父であり、F1とインディ500のWチャンピオンでもあるマリオが特別顧問に名を連ねるこの新会社設立の目的は、新規株式公開(IPO)によって2億5000万ドル、日本円にして約275億円の資金を調達する事にある。

SPACは買収を目的とした会社形態で、上場して株式を売り出す事で投資家から資金を集め、これを原資に企業買収を行うものだ。なお、現時点ではまだ株式は公開されていない。

集めた大金で何を買収するのかという事もさる事ながら、取締役会にランド・ノリスとダニエル・リカルド擁するF1チームを束ねるマクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOが参画している点も興味深い。アンドレッティとは、スーパーカーチーム「ウォーキンショー・レーシング」への2017年の共同出資を通じて以降、密接な関係を築いている。

フェラーリとの技術提携がF1参戦の基盤となっているハース買収の可能性はかなり低いようだが、他の2チームはいずれも創業者の手を離れ今は投資会社が所有しているため、金額次第ではあるものの合意に至る可能性は十分にある。

スイス・ヒンウィルを本拠とするザウバーは2016年にロングボウ・ファイナンスS.A.に株式を売却。ウィリアムズは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる財政難の最中、米国の投資会社ドリルトン・キャピタルに買収されている。

F1は2021年~2025年を対象とした新たなコンコルド協定に参入障壁を設けた。これはF1への新規参戦チームに対して2億ドル、日本円にして約220億円の支払いを義務付けるもので、参入に際しては既存チームを買収する方が費用を低く抑えられる可能性がある。

ただ、フェラーリのチーム代表を退いた後、チェイス・ケアリーの後任として今年からF1の最高経営責任者(CEO)に就いたステファノ・ドメニカリは、一定の条件のもとで”200億円障壁”を免除する可能性を示唆。これを受けてモナコ公国を拠点とするレーシングチーム「モナコF1レーシングチーム」が参戦に名乗りを上げている。

なお、その中にアンドレッティが含まれているかは不明だが、アルピーヌF1のエグゼクティブ・ディレクターを務めるマルチン・ブコウスキーはこの程、パワーユニット供給を巡って「参入予定の幾つかのチームと話をした」と認めている。

予算上限の導入と分配金の改善、持続可能で収益性の高いビジネスを目指すリバティ・メディアが新オーナーとなった事で、F1への参戦は関連企業にとって魅力的な選択肢の一つとなりつつある。

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