アルピーヌF1「100戦以内の王座争い」を目標に相次ぐ上級職退任を経て技術部門を再編
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アルピーヌF1チームは2月3日(木)、相次ぐ上級職の退任を経て、パフォーマンスの最大化に向けた組織体制刷新の一環として、技術部門を再編した事を明らかにした。
シャシー・テクニカル・ディレクターを務めていたパット・フライは最高技術責任者(CTO)に、マット・ハーマンはテクニカル・ディレクターに昇格する。
チームは先月、事実上のチーム代表を務めていたマルシン・ブドコウスキーの退任を発表。非常勤取締役という肩書でアドバイザーを務めていたアラン・プロストもエンストンを去った。
二人はルノー・グループのルカ・デ・メオCEOとアルピーヌのローラン・ロッシCEOが掲げる「アルピーヌF1としての参戦100レース以内にチャンピオンシップを戦う」という目標達成に向け、車両の性能向上に取り組んでいく。
パット・フライは今後、英国エンストンのファクトリーにおける全ての技術活動を統括すると共に、予算上限を念頭にした長期的な開発戦略の策定を行う。また、パフォーマンス目標や必要となる技術・コンピテンシーの設定、今後ブレイクスルーとなり得るような最新技術の特定なども合わせて担当する。
パット・フライは40年近いキャリアを持つ大ベテランだ。1987年にベネトンF1研究開発部門でキャリアをスターとさせた後、マクラーレンではミカ・ハッキネンとデビッド・クルサードのレースエンジニアを務めただけでなく、チーフエンジニアとして開発部門を率いた。
2010年に移籍したフェラーリでは、レーストラック・エンジニアリング責任者とシャシー・テクニカル・ディレクターとして活躍。マノーでのコンサルタント業務を経て、一時的にマクラーレンでエンジニアリング・ディレクターを務めた後、2020年にルノーに移籍した。
これまでエンジニアリング・ディレクターを務めてきたマット・ハーマンは、組織ならびに開発プロセスの最適化、人材・チーム育成を担当する。
中でも特に期待されているのがパワーユニット(PU)との連携だ。マット・ハーマンは2000年から2018年までの18年間に渡ってメルセデスAMG HPPに勤務した経験を持つ。シャシーとPUの統合・最適化という点でこれ以上ない人材と言える。
ローラン・ロッシCEOは、今回の体制変更によってチームは「大幅に強化される」と主張した。
「パットはF1で最も経験豊富なエンジニアの一人であり、マットはシャシーとエンジンとの統合という専門知識を持ち合わせている。今回の人事変更はレースカーから最大限のポテンシャルを引き出していく上で決定的な意味を持つことになるだろう」