去る戦友を”攻撃”したくなかったアロンソ、その想いをドライビングを通して感じたベッテル
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14号車アルピーヌA522の信頼性不足のためにフェルナンド・アロンソの願いは叶わなかったものの、去り行く戦友に対する彼の想いはセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)に伝わっていた。
計測ラップを邪魔したりしないよう気遣いながらアブダビでの予選を戦ったアロンソは、決勝でも同じ様に「配慮」する事を誓っていた。引退するかつてのタイトル争いのライバルと「共にチェッカーフラッグを受けたい」というのが41歳アロンソの願いだった。
誰もがF1ラストランでのベッテルの完走を願っていた。フェラーリ曰く「誰もがセブのファンだ。例えそうでないと言っても、みんながセブのファン」なのだ。
決勝前セレモニーを経てアロンソは、グリッド上のクルマに乗り込んだベッテルの元へと駆けつけ、手を取り、何かを語りかけていた。
アロンソは「セブにアタックしたくなかった。僕としてはただ、彼の後ろを何周か走って楽しみたかったんだ」と振り返った。
ベッテルは「誤った戦略」のために幾つかのポジションを失ったが、それでも10位で完走を果たした。ただ、アロンソはまたも「このレベルでは到底受け入れられない信頼性の問題」によって道半ばにクルマを降りた。
それでもベッテルは、レース中にアロンソの想いを感じ取っていた。Racerによるとベッテルは「フェルナンドがレースの序盤に本当に、本当に寛大だったのを感じた」と語った。
「こういう形で別れを告げ、それを楽しむことができて本当にスペシャルだった。長年に渡って素晴らしい時間を過ごし、成功を楽しみ、何度かチャンピオンになる事もできた」
「競技という面で素晴らしかっただけじゃなく、色々な意味で成長できたし、様々な事を反省するということもできた」
「コース外でも多くを築き上げられたのは僕にとって大きな喜びだ」
「パートナーを見つけた。今は妻だけどね。ずいぶん長い時間が経ったけど、今でも本当に本当に愛している」
「子供が3人いるし、家で犬と過ごす時間が増えるのを楽しみにしてる。すごく退屈に聞こえるかもしれないけど、レース活動と並んで築き上げてきたものだから、今はそういう事を楽しみたいって思ってる」
「その上で、今後についての事を考えてみることにするよ。僕はいろんな意味で落ち着きがないし、色んなことに興味があるから、もう少し時間をちょうだい」